ハワード・スーンズによるありきたりでないブコウスキーの伝記を読んだ。
同じ著者による、ブコウスキー写真集があるというので読んでみた。いや、写真集は「読む」のだろうか。よくわからない。でも、文字は多い。ありきたりでない伝記で集めた写真や手紙がぶちこまれているうえに、解説も多い。そういう本だ。
で、ブコウスキーの写真だが、どれもこれもいい。いいのだが、とくにいいのが「競馬場でのブコウスキー」だ。そこには、おれが知っている競馬場、とくに昭和が残っていた地方競馬場の雰囲気があった。そして、そこにいるじいさんの雰囲気があった。翻訳者の中川五郎はたしか、ブコウスキーにはばんえい競馬に来てほしかったと書いていたが、ばんえいはやりすぎだ。南関東あたりがちょうどいい。勝手にそう思った。
どんな写真なのかというと、おれが個人的に携帯端末に残した写真をここに載せるのが「引用」にあたるのかわからないのでやらないが、「bukowski horse racing」とかで検索すれば画像が何枚か出てくる。その何枚かだ。とてもいい。競馬をやっているしょうもない人間の人間らしさが出ている。世界共通だ。小銭で馬券を買い、小銭を失う人間。それでもやめない人間がそこにはいる。もしもおれが長生きできたら、そういうじじいになりたい。そのときは、携帯端末で馬券を買うなんてことはやめて、マークシートと紙の馬券に戻ってやるさ。
最後に、この写真集に収録されていたブコウスキーの詩を引用しておく。『肝心なのはどれほどうまく炎の中を通り抜けられるかということ』という詩集の最後に収録された「ロール・ザ・ダイス」という作品だ。
やってみようとしているのなら
最後までやりぬくんだ
そうでなきゃ決して味わえない
気分がある
神だけが
そばについてくれることになるだろう
夜は
炎に赤く包まれることだろう
やるんだ、やるんだ、やるんだ
やるんだ
最後まで
ずっと最後まで
人生をうまく乗り切って
最後には心からの笑いが待ち受けていることだろう
善戦あるのみ
なんだよ