藤原新也『日々の一滴』を読む

 

日々の一滴

日々の一滴

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  • 藤原新也の近頃の本である。
  • 藤原新也のオールド左翼的、反原発などのありきたり発言にはちょっと嫌な感じがする。
  • それでも藤原新也の写真はすばらしい。
  • それでも藤原新也の文章はときどき芯を食う。
  • なので藤原新也は総合的に見てやっぱりすげえなと思う。
  • 「ニッポンハロウィーン」の見方などはするどいなと思う。もっとも、ハロウィーン自体がそれほど盛り上がらなくなってしまったようだが。「ニッポンハロウィーンは消された私を取り戻すためにアバターに変身し、"私個人"ではなくキャラクターによって人と繋がりを求めるという複雑にねじれた社会現象であり、その意味で世界のハロウィーンの中においても特異な位置を占めるものと言えるだろう。」
  • 「パワーという言葉を使うと発展を思い浮かべるがこの広い地球には変化しないパワー、発展しないパワーというものも確実に存在するのである。とくにこの"南国パワー"は南の方面に行くとさらに顕著になる。」……とは台湾のことを指しているが、さてどうなのか、おれは世界を知らないのでなんともいえない。日本人の方がのんべんだらりとしているのかもしれないが、日本人自身に「発展しないパワー」というものの自覚がないように思える。自覚するものかどうかわからないが、そろそろ日本も発展しないパワーに目覚めてもいいのではないか。どうせもう上がり目はないのだし。
  • まあ、ともかく、写真があいも変わらず藤原新也なのであって、どうしたらこういう写真が撮れるのか不思議でならない。「天国のじいちゃんと電話で話せたらいいのに」の写真とか、「辺野古浄土。南無阿弥陀仏。」の写真とか、どうなってるんだろうかと思う。そのあたり、やっぱり藤原新也はすげえよな、と思う。
  • とはいえ、言葉の中身で「なんだかな」と思ったのも記しておきたい。