鉄から流れる汗を舐めろ。
砂漠には一輪の花もない。
鳥たちには帰るところがない。
魂を撃ち抜く弾丸はまだ残っている。
波はすべて同じ形で繰り返す。
屠殺される家畜の瞳に写っている。
狂ったように笑う犬がいる。
写真のなかの追憶は焼いて捨てろ。
樹のてっぺんに星を飾れ。
冬の空を見上げてため息をつくな。
ドラム缶を叩いて戦の始まりを告げろ。
街を歩く亡霊たちの声を聞け。
その瞳だけはいつも青かった。
コンクリートの身体でできたゴーレム。
地上に突き刺さる戦闘攻撃機。
深夜0時の危機。
知らない言葉で話す人たち。
冬に咲くバラの品種。
圏央道内回りで事故。
この世には下り坂のほうが多い。
道端に安置されている革靴。
鉄道の予感で空気が震える。
間違った番号を覚えている。
鍵穴はどこにもなく鍵もない。
空の色はいつも薄墨色。
夕まぐれの路地を一人で歩く。
宝石が輝くのを見たことがない。
食べることだけが生きるということだ。
恋しくない夏。
始まらない宴。
思い出したくない恋。
トリガーを引いても音もしない。
あらゆる役所の申請書を燃やせ。
くだらない後日談は不必要。
太陽が登るかぎり不快。
闇夜では眩しすぎる発光体。
百万回繰り返された稀有な体験。
考えなしの実行。
かかりすぎた負荷に膝をつく。
屈辱だけが降り注ぐ。
調べ方が悪かった。
時間の流れだけが一方通行。
それはまるで蛾そのものだった。
馬は薔薇のために走る。
頭の中で百万の言葉を殺す。
十二月の浜辺を一人で歩く。
西に向かって一人で歩く。