
おれは横浜中華街の近くにいる。地元民といっていい距離だろう。そのわりには中華街に行かない。そういうものだろう。
そんな中華街に珍しく行った。行って食べたのがうえの写真。
ラクサ、これである。こないだ藤井聡太がシンガポールの対局で昼食に選んでいた。もちろん、カップヌードル経由でラクサは知っているが、外食でラクサは食べたことなかったのだ。
で、検索してみたら、中華街にシンガポール料理出すところがあるとなって、これはめずらしいと思ったわけだ。
ラクサがどうだったかというと、最初から入っているライスヌードルで食べるといまいちだった。もう少しココナッツミルク効かせて、味も濃い目でいいのにな、と思った。が、麺を食べ終えたあとにジャスミンライスを投入すると、これがおいしい。また行くことはないだろうし、もしも行ってもチキンライスみたいなのを頼むと思うが、「ラクサのライスヌードル抜き、追加でジャスミンライス2杯」というような頼み方がいいと思う。
横浜中華街の話だった。聘珍樓とか揚州飯店とか、高級大規模店の倒産のニュースがあった。会社の会食だの、家族のごちそうだののシーンが減っているのだろう。おれにはぜんぜん関係がない。ただ、そういう店であるていどの金を出せばおいしいものは食べられる、そういう保証はあったのだろうと思う。
そういう話題で中華街が語られるとき、だいたい今はもう食べ放題の店ばかりでどうたらという文句のようななにかだ。それはそう。というか、中華街って高級かどうかはべつとして、有名店以外はみんな無個性だ。たくさん町中華があるイメージ。尖っている店は少ない。上の海南之家なんて、まだシンガポール料理がラインナップされているだけ珍しいといっていい。とはいえ、きちんと中華料理の食べ放題コースもあるのだが。
中華街で食べ放題、食べたことはない。なにやらこう、そそられない。それになんだ、中華街の飯はボリュームがある。だいたいそうだ。「味は普通だったな」ということはあっても、「量が足りなかったな」ということはない。むしろ、食べ放題にしたほうが、腹八分目で終わらせることができるかもしれない。
あとは、買い食いしている人も増えたし、買い食いできる店も増えただろうか。店先でしのぎを削っている店のほうが、普通の食べ放題より美味しい可能性はある。
まあなんだっけ、そういうわけで、中華街はつまらん感じがする。

(この写真は御徒町の老酒舗)
一方で、ガチ中華と呼ばれる店は面白い。メニューも味も尖っている。尖っていればいいというものではないけれど、無個性な中華街の店よりぜんぜんいい。

となると、横浜は関内に来たならば、イセザキモールに多くなったガチ中華屋に行ったほうがいいかもしれない。この写真は尖ったメニューではなく普通のランチだが、大東北のものだ。味はいい。
ようするに、なにが言いたいかというと、中華街には平凡な店が多すぎておもしろくないので、どんどんガチ中華とか入っていけばいいのにと思う。あと、中華にこだわらず、シンガポールでもベトナムでもタイでもいいが、ガチなアジア料理店が集まったらいいのにな、とか思っている。

昔ながらの中華料理なら、龍鳳でもいいだろう。ちなみに、昔ながらのガチ中華である華隆餐館、こないだ休みの日の昼に行ったら閉まっていた。閉店したのか? よくわからない。

とはいえ、あんまり尖っているものばかりが好まれるわけでもない。マニアックさを受け入れる人とそうでない人がいる。おれはどうせ食べるなら、食べたことのないものを食べたいというタイプだ。日常の食生活が「毎晩同じものを食べる」という超保守派だからかもしれない。

まあ、そういうわけで、おれは地元民ながら、あまり中華街に行かない。もちろん、たいへんすばらしい店があるだろうことは知っているが、予約も並ぶのもたいへんだし、それならほかへ行く、ということになる。

ただ、「横浜中華街に行けばいろんな国のガチな店が揃っている」とかになったら、個人的には楽しい。どうも、そんなことにはならなそうだが、なってくれたらいいな、という夢だ。あくまで個人的な妄想である。