「新井にだけは伝えた。優勝決まった後に。“もう一年やらないんですか”と言われましたけど自分の意思が結構固かったんで納得してくれたと思います」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161018-00000138-spnannex-base
黒田博樹、突然の引退表明。いや、今シーズンかぎりかもしれないと言われていたので、「突然」ではないかもしれない。だが、このタイミングでの表明、やはり突然か。あるいは、特別か。
特別。そうだ、日本シリーズを、25年ぶりの日本シリーズを控えている。そして、黒田は当たり前のように先発陣の一角を担っている。ジョンソン、野村ときて黒田、という序列だ。その黒田が引退を表明したのだ。これはただごとではない。ただでさえただごとではない広島カープの日本シリーズが、さらにただごとではなくなってしまった。このタイミングでの表明、黒田、あんた役者だぜ、とか言いたくもなる。
というわけで、広島カープの日本シリーズは、「男気」黒田の引退シリーズにもなってしまった。そういうストーリーで語られることになってしまった。黒田が、カープが勝てば有終の美。負ければ……、たとえば既にただごとではない大谷翔平への継承として語られたりするのかもしれない。ともかく、今はまだ、なにもわからん。わからんが、旋風を巻き起こした今年のカープのラストは黒田のものになった。そういっていいだろう。
と、おれはといえば、割りと冷静というか、ちょっと冷めているところもある。とくに黒田が嫌いなわけでもない。野球ファンの平均くらいには好きだ(平均的に嫌われていたら……とは思わんが)。だが、そこまで「男気」! というところに乗っかれていない部分もある。むろん、カープ愛というもので、メジャーの高額オファーを蹴ったというのはすごい。すごいが、すごいのは、その選択をできるところまで実績を積んできて、現役晩年の居場所を自ら定めた、というところだろう。そんなことできる選手は、ほんとうにほんの一握りだ。
復帰時に、カープの出した年俸が黒田に対して失礼だ、などという声もあったと思う。でも、そういうもんじゃねえだろう。カープが、ではなく、黒田は十数億円分のぜいたくな選択をしたのだ。それはもう、かっこいいことなんだ。むろん、黒田のストイックさを否定するものではない。怪我やなにかがあるなかで、苦しい道を選んだともいえる。もちろん、カープだって黒田が戦力にならなければ、温情だけでローテを任せたりはしなかっただろう。だが、黒田はきちんと役割を果たした。こういうのをなんていうのだろう。プロフェッショナル、だろうか。
そのプロフェッショナルが、現役を退く。日本シリーズの結果は関係なく、だ。はたしてどのような引退後の生活をするのだろうか。城島健司のように悠々自適な生活を送るもよし、孤高の求道者と思っていたらスイーツ好きおじさんになってしまった前田智徳のようになるもよし、その前田より実のところ暗くてチームを率いるに向いていないと言われていながら優勝まで持ってきてしまった緒方孝市のようになるもよし……なろうと思ってなれるもんじゃないが……、少し興味あるところだ。個人的には、なんとなく、NHKのスポーツニュースあたりの解説でたまに顔を見る、あたりか、なんて想像している。まあ、もう好きにすればいいさ。それでもさ、あまり引き合いに出したくはないが、三浦大輔最後の登板みたいなことにはならないでおくれ、とだけは言いたい。むろん、本人にもその気はないだろう。「目いっぱいケガを恐れず投げたい」という、リミッターを外した快投を、期待する。
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