こんなにも靴が見つからない

 ネットという沃野に俺は俺の履くべき靴を求めた。何、少し大きめのサイズを選べば大丈夫だ。店員が言っていたのだ「横幅さえ合えば、縦はいくら長くてもオーケーです」と。俺は楽天で、Yahoo!で、何百も靴を見た。しかし、何を買うべきかさっぱりわからなかった。「これだ」というものは何一つなく「これか?」というクエスチョンマークで終わってしまう。俺の買い物は早いか遅いかの両極端だ。俺は今、遅いほうの端に立っている。俺は、また靴屋に行かなければならない。よく考えてみると、外で見る全ての人たちは履き物付きである。裸足で歩いている人は裸で歩いている人くらい見ない。皆それぞれにそれぞれの靴を履いている。合う靴がないからといって、裸足で歩く人はいない。しかし、オウンオピニオンは裸足で走った。インドのシンザン、だからだ。因果関係はこれで正しいと思う。とはいえ、インドで裸足の人が多いかどうかはわからない。少なくとも、インド出身のメジャーリーガーが、シューレス・インディアンと呼ばれた話は聞かない。カーティケヤンがF1で活躍するのだから、インド人のメジャーリーガーがいたっていいかもしれない。残念なことに、インドで盛んなのはクリケットだ。旧宗主国大英帝国だからだ。だからインドに競馬はあり、オウンオピニオンは日本に来た。オウンオピニオンは蹄鉄を履かずに走り、俺は今日も靴を探したが見つけることができなかった。そういう話なのだ。