読書

おれはなんのために本を読むのか? おもしろいからだ

またまた寄稿いたしました。 blog.tinect.jp 独学? おまえのはただの読書だろ? という話になるが、自分としては一人で学んでいるのだという気分もいくらかあるのでご容赦いただきたい。 上の記事で取り上げたのは小室直樹の『天皇の原理』である。一人で読…

2022年に読んだ本からおすすめしたいもの挙げたいのこと

今年はあまり本を読めなかった。五冊くらいしか読んでいないかもしれない。それでも、おもしろいと思った本、人にすすめたくなる本というものもある。もうろくに読まれなくなってしまったおれだけれども、さらに読まれない年末にまとめて再度おすすめしたい…

佐々木閑『科学するブッダ 犀の角たち』を読む

科学するブッダ 犀の角たち (角川ソフィア文庫) 作者:佐々木 閑 KADOKAWA Amazon なにやら、具と麺が乖離していてべつべつのものを食べたような、そんな本であった。前半は「物理学」、「進化論」、「数学」についての歴史が記されている。それは西洋のもの…

インターネットはネコチャンすぎるだろ

またまた寄稿いたしました。 ぜひともお読みください。 blog.tinect.jp ……お読みいただけましたか? ………読んでくれたよね? にゃ。 というわけで、おれはトキソプラズマの話が面白いと思ったのですが、それは記事の方を読んでください。 ここでは、ちょっと…

マンボウやしろ『あの頃な』を読む……あの頃を思い出すために

あの頃な 作者:マンボウやしろ 角川春樹事務所 Amazon ……新しい生活様式とかニューワールドオーダーとかネクストフェーズとか、なんかいろいろな言葉や概念がどんどん押し寄せてきては、僕らを追い抜いていくような感覚がありますけど、そういう類のことでは…

高橋ユキ『つけびの村 噂が5人を殺したのか』(書籍版)を読んだ

つけびの村 作者:高橋ユキ 晶文社 Amazon 少し前にネットで話題になっていた話かな? と思った。その通りで、著者がいろいろの出版社に持ち込んだが売れず、noteで販売してみたが、それでも反応は少なく……と、思っていたら、いきなり売れたという話であった…

石原莞爾の妻との恋文

この間、中島岳志の『超国家主義』を読んだ。 超国家主義 (単行本) 作者:中島 岳志 筑摩書房 Amazon 同著者の『朝日平吾の鬱屈』、『親鸞と日本主義』をはじめとして、いくらかいろいろな当時についての本を読んでいたので、いわばダイジェスト的な本である…

深町秋生『鬼哭の銃弾』を読む

「鬼哭の銃弾」をAIに描かせたら微妙にリアルな何かが出てきた 映画『ヘルドッグス』見ようかなと思い、そういえばさいきん深町秋生作品読んでないなとか思って、そんでも映画見るならべつの作品いくかということにして、『鬼哭の銃弾』を読んだ。 鬼哭の銃…

『未来のプルードン 資本主義もマルクス主義も超えて』(的場昭弘)を読む

未来のプルードン——資本主義もマルクス主義も超えて 作者:的場 昭弘 亜紀書房 Amazon プルードン、クロポトキン、バクーニンあたりとなると、おれにとってのアナーキズムとの出会いであって、なにかの根底のようなところがある。とはいえ、おれは優雅で感傷…

『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』を読む

最澄と徳一 仏教史上最大の対決 (岩波新書 新赤版 1899) 作者:師 茂樹 岩波書店 Amazon 最澄と徳一、仏教史上最大の対決、である。仏教史上最大の対決かどうかは知らない。法然vs明恵というマッチアップの本もあったはずだ。 法然対明恵 鎌倉仏教の宗教対決 …

おれは100年生きられないだろうが

またまた寄稿いたしました。 blog.tinect.jp 世界不死計画 作者:フレデリック・ベグベデ 河出書房新社 Amazon この本を読んでからの着想というか、思いつきというか、「不老不死」について考えた。この本、ノンフィクションとフィクションが入り交ざって、最…

ヴォネガットが生きていたら、プーチンの戦争になんと言っただろう?

寄稿いたしました。 blog.tinect.jp ヴォネガットの卒業式講演を主に集めた本を読んだわけです。 これで駄目なら 作者:カート・ヴォネガット 飛鳥新社 Amazon こんな本あったんやな、という感じで、しかも翻訳者は円城塔か、いや、SF作家だからいいのか、と…

ケン・リュウ短篇傑作集2『もののあはれ』を読む

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2) 作者:ケン リュウ 早川書房 Amazon 図書館でレイ・ブラッドベリの本をジュニアコーナーで探していたら、この本が目に入った。あ、ケン・リュウじゃん。こっちにしよう。そう思って借りた。 ……あれ、読んだことあるん…

栗原康『アナキズム 一丸となってバラバラに生きろ』を読む

アナキズム――一丸となってバラバラに生きろ (岩波新書) 作者:栗原 康 岩波書店 Amazon 角川武蔵野ミュージアムで見かけて、「あれ、おれ、栗原康の本はほとんど読んだつもりだったけど、岩波新書のこれ読んでねえな」と思った。思ったので、読んだ。 いつも…

『赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由』を読んだ

他人が見ている青い空は、実は自分にとっては真っ赤なのかもしれない。ただ、それはどうやっても確かめられない……というようなことは、誰もが一度は考えるはずだ。たぶん。そればっかりは、どうやっても。 で、先日図書館でこんな本を見かけた。 赤を見る―感…

達人としての医師というものについて

blog.tinect.jp 神田橋條治 医学部講義 作者:神田橋 條治 創元社 Amazon 寄稿いたしました。 神田橋條治医師の講義録についての感想です。 お読みいただけたでしょうか? 読んだか、このやろう? 読んだということにする。 というわけで、神田橋條治である。…

藤原新也『日々の一滴』を読む

日々の一滴 作者:藤原新也 トゥーヴァージンズ Amazon 藤原新也の近頃の本である。 藤原新也のオールド左翼的、反原発などのありきたり発言にはちょっと嫌な感じがする。 それでも藤原新也の写真はすばらしい。 それでも藤原新也の文章はときどき芯を食う。 …

斎藤環・與那覇潤『心を病んだらいけないの?』を読む

心を病んだらいけないの?―うつ病社会の処方箋―(新潮選書) 作者:斎藤環,與那覇潤 新潮社 Amazon 医師と当事者 おれは精神科医の書くものが好きである。一般人、患者向けに書かれたものでもよいし、同業者に向いて書かれたものでもよい。後者はもちろんむず…

川上弘美『龍宮』を読む

龍宮 (文春文庫) 作者:川上 弘美 文藝春秋 Amazon 川上弘美の『龍宮』を読んだ。 というか、この日記の読者の方から「北斎」を読めと勧められたので、読んだ。 蛸に教訓を垂れられた。私は神妙そうに頷いた。 「そのまま岸に着き、船は港に舫われた。夜にな…

チャールズ・ブコウスキー『英雄なんかどこにもいない』を読む(ちょっと読んでない)

英雄なんかどこにもいない 未収録+未公開作品集 作者:チャールズ・ブコウスキー 青土社 Amazon ブコウスキーの「未収録+未公開作品集」を読んだ。読んだといっても、ぜんぶ読んでない。正直に言う。年度末で忙しくて、読書する時間がない。くそったれ。 そ…

『ブコウスキー・イン・ピクチャーズ』を読む……? ……見る?

ブコウスキー・イン・ピクチャーズ 作者:ハワード スーンズ 河出書房新社 Amazon ハワード・スーンズによるありきたりでないブコウスキーの伝記を読んだ。 goldhead.hatenablog.com 同じ著者による、ブコウスキー写真集があるというので読んでみた。いや、写…

西村賢太『痴者の食卓』を読む

痴者の食卓 作者:西村 賢太 新潮社 Amazon 夢魔去りぬ (講談社文庫) 作者:西村賢太 講談社 Amazon (文庫本化したさいに表題作名を変えたようです。しかし、文庫本の表紙はなんなんだろう) おれは図書館に行くとき、次に借りるものが決まっているときと、決…

シモーヌ・ヴェイユ『工場日記』を読む

工場日記 (ちくま学芸文庫) 作者:シモーヌ・ヴェイユ 筑摩書房 Amazon シモーヌ・ヴェイユの『工場日記』を読んでみた。 月曜―火曜――ねじ、C4×16、鉄/4フラン50で5000個プラス賞金1フラン/フライス1号、7010III/013252、フランジ固定。M・P・Rねじ、鋼鉄…

早助よう子『恋する少年十字軍』を読む

恋する少年十字軍 作者:早助よう子 河出書房新社 Amazon 『アナキスト本をよむ』をよむ - 関内関外日記 栗原康の本で知った本を読んだ。 早助よう子という名前も知らなかった。なんとも奇妙な、奇っ怪な小説集だった。情景が、発想がぴょんぴょん跳ねてとん…

ハワード・スーンズ『ブコウスキー伝 飲んで書いて愛して』を読む

ブコウスキー伝―飲んで書いて愛して 作者:ハワード スーンズ 河出書房新社 Amazon この日記の読者の方からのお便りで(みんなもっとお便り送ってくれてもいいんだからね!)、「チャールズ・ブコウスキー好きならスーンズの『ブコウスキー伝』いいですよ」と…

精神障害者が『なぜ心はこんなに脆いのか 不安や抑うつの進化心理学』を読む

なぜ自然選択は、私たちをこれほど多くの精神疾患に対して脆弱なままにしたのだろう? これは価値のある問いであり、これに答えようとする試みによって、精神疾患に対する私たちの理解は深まるはずだ。これが、本書のシンプルなテーマである。 「エピローグ…

生と死とセガサターンと人間の歴史 長嶋有『もう生まれたくない』を読む

もう生まれたくない (講談社文庫) 作者:長嶋 有 講談社 Amazon 三月に起きた津波は、その高さが「数字で」発表された。その数字より高いところにのぼったら生き残り、低ければダメだった。あるいは、同じ建物の三階に逃げた人は死に、屋上の人は生き残った。…

『アナキスト本をよむ』をよむ

アナキスト本をよむ 作者:康, 栗原 新評論 Amazon 「アナキスト本」をよむ、のではなく、「アナキスト」本をよむ、なのだ。だが、アナキストがよむ本なのだから「アナキスト本」なのかもしれず、そのあたりはどうとでも解釈すればよいだろう。 というわけで…

年末年始『三体』三昧

おれが劉慈欣の『三体』を読み始めたのは西暦2021年12月30日14時20分(JST)頃である。そのことは「サンマルクカフェ」のレシートから明らかだ。 さかのぼって数十分前、おれは伊勢佐木モールのブックオフにいた。恥を晒すが、ブックオフだ。そこでおれが見…

黄金頭さんが2021年に読んでよかった本

今年読んでよかった本を挙げる。もちろん、おれは今年出た本を読むことは少ない。ほとんどない。だから、おれが今年読んでよかった本だ。 『幻覚剤は役に立つのか』 goldhead.hatenablog.com 大麻がどうこうというところに、幻覚剤である。幻覚剤はすげえ。…