寄稿いたしました。
図書館と本についてです。
なぜおれは図書館で本を借りることを恥ずかしく感じるか。そんな話。
いや、できることなら、おれは読む本すべて所有したい。おれの本にしたい。でも、そんな金がない。しょうもない人生。
で、いきなり、自分が所有している本で無人島に持っていきたい本ベスト5(2023年版)。
- 『高丘親王航海記』澁澤龍彦
- 『さようなら、ギャングたち』高橋源一郎
- 『夜の果てへの旅』セリーヌ
- 『カイエ』シオラン
- 『死をポケットに入れて』チャールズ・ブコウスキー
いま、ぱっと思いついたもの。仏教本一冊くらい入れたかったとか(鈴木大拙となると『日本的霊性』になるのかどうか)、SF入れるなら『天冥の標』かな、『三体』かなとか、田村隆一全詩集という手もあるかとか、いろいろあるが、あくまで直感で。
うーん、なんかこう、死が漂っているリストだな、というのはある。『高丘親王』は澁澤龍彦自らの生死を反映させた作品だし、『さようなら、ギャングたち』も死ぬ感じだし、『夜の果て』だし、シオランだし、『死をポケットに入れて』いるし。
かといって、おれが「前向きに生きたくなる本ベスト5」なんか選ぼうものなら、何時間経っても出てこないぞ。……出てこない。前向きに生きたくないからかもしれない。
というわけで、暗い人生を生きている人は上の五冊を買って読め。なんか一冊好きなのが入ってるな、という人はほかの四冊も読め。べつに図書館で借りてもいいぞ。好きにしろ。
ところでいまおれが図書館から借りているのは米原万里のエッセイ三冊と小室直樹とエロフェーエフの『酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』だ。
『酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』は「酒で頭が濁った人間として読みたい本ベスト5」に入ってくるかもしれない。買うかもしれない。え、ほかの四冊は? 『今夜、すべてのバーで』、『ブコウスキーの酔いどれ紀行』……なんだろうね、ちょっと考えさせてほしい。田村隆一のスコッチの話、本当に死ぬまで飲んだ辻潤……。
いや、本のことを考えるのは悪くないな。自らのなんでもない人生に、なにか広がりがあったように思わせてくれるところがある。逆にいえば、現実が充実している人間に本は不要なのかもしれない。おれは図書館にいる人間が心から幸せそうなのを見たことがない。
(この表紙は好きじゃない。ハードカバーの装丁はすばらしい)
(『ジョン・レノン対火星人』と比べてもこっちだよな)
(おれは国書刊行会の『セリーヌ全集』を全部読んだことを自慢にしている。だんだん読めたもんじゃなくなってくるから)
(縁もゆかりもないけど法政大学に感謝)
(この表紙のイラストにあるように、ブコウスキーは晩年マッキントッシュを使っていたのだ)
(まだ途中までしか読んでないけど、主人公の酒クズっぷりは冒頭から圧倒される。やはりロシアは桁が違う)