寄稿いたしました。
……わりと「自分が面白いと思ったこと」について書いております。この記事が面白いかはしりません。でも、おれが紹介したもんはおもしれーんだ。
しらねーけど、この話は面白いんだよ。読んだ? 読んだよね?
というわけで、これらの本を読みました。
まあ、とにかく、『日本書紀』なんて藤原不比等が藤原家の繁栄を目論んで、天皇を神格化して、神話まで作っちまったぜって話だ。こいつがすげえおもしろい。おもしろいところに目をつけて、おもしろいことを書く小説家まで作品を仕上げたって話だ。だからもう、おもしろいに決まってんだ。
つーわけで、できれば、いや、ともかく、てめえは『天孫降臨の夢』と『比ぶ者なき』を読めって話だ。順番はこの通りだ。そうしたら、すげえ楽しい。
楽しいうえに、さらにおまけまである。
馳星周『四神の旗』読了。
— 黄金頭 (@goldhead) 2023年4月17日
はい、馳星周の『四神の旗』、これきた。
きたって何が? 何がって藤原不比等を描いた『比ぶ者なき』の続編だ。藤原不比等の息子、藤原四兄弟と長屋王の話だ。ノワールの続編だ。ビッグボスが死んだ後の四兄弟、四兄弟の協力と反目、そして強大なライバル。それを描いている。
正直、藤原不比等に比べたら小物になっちまう。それでも、個性を出して描き出された四兄弟に、理知に進むあまり人心を解さない長屋王(石田三成キャラ?)、この対立。あるいは、兄弟間の対立。これについては、長屋王の変において藤原房前一人が残り三兄弟から違う道を歩んだという説を、馳星周は採ったんだろう。
3.武智麻呂が主導し宇合・麻呂兄弟が協力して房前は埒外に置かれていた
これから逆算して、兄弟を描いたのかな。
……と、藤原房前。これなんて読む? 「ふじわらのふささき」だ。藤原房前はまだ読みやすい。「前」を「さき」と読むのは「弘前」とかでもある。
では、のこりの三人はどうなる。長男の藤原武智麻呂。「たけちまろ」ではなく「むちまろ」だ。これは読みやすい。四男の藤原麻呂。これは「まろ」であってすごく読みやすい。問題は藤原宇合だ。これで「うまかい」だ。もとは「馬養」だったらしいが、こうなった。こいつは読みにくい。「安宿媛」はなんとなく「あすかべひめ」といける。しかし、「内大臣」が「うちつおみ」というのはなかなか覚えられなかった。
この読みにくさでいくと、「軽皇子」(かる)とかに比べて「首皇子」はたまに確かめたくなる。「おびと」だ。阿閉皇女はなんとなく「あへ」といけるし、氷高皇女は「ひだか」なのでいい。いいといえば「県犬養道代」であって、これで「あがたいぬかいみちよ」というのはなんかテンポがいいのでよい。とはいえ県犬養三千代=橘三千代は日本史上に残る女傑……女傑というのはちょっと違うかもしれないが、すごい人だ。
……以上は、これらの本の読み方であって、実際どうかはわからんし、いろいろある。
しかしまあ、やはり藤原不比等という名前はすごい。これは小学生のころにもちらりと思ったかもしれない。どんな人物かは知らない。でも、「不比等」なんて名前、なんて偉そうなんだ。これ以上偉そうな名前があるか。しかも「ふひと」と読みやすい。超かっこいいじゃねえか。でもって、このたび、「不比等」が日本史上で「不比等」なやつだったかもしれねえぜ、という説を読んで、おれは大喜びなのだった。なにせ天皇の神話を作ったのだ。いや、そうかもしれねえって話があるんだ。そんだけだ。以上。