映画で『禅 ZEN』を観る

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映画「禅 ZEN」特別版DVD

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 道元禅師の映画である。道元といえば空手還郷、知ってるのか雷電! 入宋した道元が中国四千年の秘儀を授けられて完成させた武術体系! 必殺・只管打坐! お前は足が痺れる。……というくらいしか雷電は知らないが、高橋伴明監督というところも興味深い、こういうのもあるのか! と思って観てみた。
 これが意外というか、案外というか、わりと面白いのである。現・中村勘九郎 (6代目)の道元も、どっかで見たことあるなあという感じで、いや、どっかで見たことある、美術館で会った人だろ! いや、違う雷電、落ち着くんだ雷電
 というわけで道元入宋から描かれる。道元笹野高史も中国語喋る(笹野高史は中国人僧役だから当たり前だが)。頭ではわかっていても、「そうなんだよなぁ!」という意外性がある。意外性というか、中国に渡った高僧たちは中国語喋れたんだろうなあという。空海とかもえらいもんだ(空海二回入唐説好き)。もちろん、読み書きもできる。そういうレベルのところで仏典を読み、学びってのをやってたんだ。やってたもんが、空手還郷、只管打坐、とにかく坐れ! というところに行き着くところが面白い。信仰や哲学を深いところまで行った人間が、一般人への布教となると、ある意味ではレベルを落とさねばならない。が、それはレベルじゃないんだよ、というところが(少なくとも)仏教にはあるようで、盤珪禅師のようなところに行き着いたりする。そこが面白い。
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……坐はすなはち仏行なり、坐はすなはち不為なり。是れ便ち自己の正体なり。此の他別に仏法の求むべき無きなり。
正法眼蔵随聞記』
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 この映画でも出てくる。「な゛ん゛て゛た゛よぉ〜〜」(cv.西明日香)状態の統合失調症っぽくなってる藤原竜也(……語弊がある。北条時頼だ )を救いに行くシーンだ。あれはなかなか緊張感があった。「大海の中で水を知ること」だとかいって切り抜けろ! V8! V8! そういえばチョイ役で哀川翔が出てた。
 と、ようわからんだろうが、おれにはそこそこ楽しめたし、道元入滅前のやりとりなんかはジーンときた。道元の慈悲があった。ただ、パッカーンと竹を割ったような事前の印象とはちと違った。雷電の印象が違っただけかもしれないが。でもって、次は盤珪禅師あたりで作ってくれ! 

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正法眼蔵随聞記 (岩波文庫)

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……『正法眼蔵随聞記』は薄いし読みやすいし『正法眼蔵』はとてもじゃないが歯がたたないので、ともかくこれがいい。