薬局の前にひるがえる「オードムーゲあります」。それを見かけるたびに、俺の心はもやもやする。語感の奇妙さにもやもやする。気持ち悪くなるといってもいい。オードだけならなんともない。しかし、ムーゲというのが気持ち悪い。いや、ムーゲだけではやはり足りない。オードとムーゲが合わさってこそだ。オードムーゲ。なにか、逆さ言葉のようにも思える。ほら、後半は「ゲーム」だ。そう、なにかファミコンに出てきた暗号のような……。ゲームドーオ。違う、ドーオなんてのはおかしい。まったく、なんなんだ。俺の心はちぎれそうだ。
そんな俺のオードムーゲへの気持ちを絵にしてみた。
このような具合である。これがオードムーゲである。
このままでは気が狂う。もう狂っているかもしれない。
しかし、このような疑問もインターネットさまを通じればたちどころにわかってしまうのが現代だ。
オードムーゲって?
http://www.rokuyou-seiyaku.co.jp/page_faq.html
オードムーゲは肌質・年齢・性別を問わず、全身にお使いいただける安全性の高い薬用ローションです。
クレンジング後・洗顔後の拭き取りや化粧水としてもお使いいただけます。
また、身体の乾燥やあせもなどにも効果的です。
お肌を清浄し必要な水分をあたえ、潤いのあるお肌を保ちます。
はあ、さようですか。てっきり、コンドーム(逆さにするとムードンコ)みたいな何かかとか、性的ななにかかと思っていました。
というわけで、お肌に潤いをもとめる人は「オードムーゲあります」ののぼりを目印に、オードムーゲを購入してオードムーゲを塗ったりすればいいだろう。会社も関西の方らしいし、関東者の自分には馴染みがなかったということだろうか、さてどうなのか、まあいいや。おしまい。
……いや、ちょっとまってほしい。オードムーゲってなんだよ? これが、載っていない。世界中で渦巻く「オードムーゲってなんだろう?」というもやもやに答えていない。気が狂いそうだ。
が、重要な手がかりはある。パッケージだ。そこにアルファベットが書かれている。「EAU DE MUGE」。これはもう答えに近い。フランス語の活用が覚えられなくて大学を辞めた俺だけれども、「EAU DE」がオードトワレやオーデコロンの「オー」であることには察しがつく。なんとかの水、「MUGE」の水だ。
が、Google翻訳先生などにMUGEを突っ込むと、以下のようなお答えである。
ボラ
魚のボラですか? 翻訳機械として優秀なGoogle Image先生に聞いてもそんな感じである。「ボラ水」。そんなものを肌に塗ったくってどうするというのか? アキレス腱痛を日本酒マッサージで克服した谷沢健一かでもあるまい。俺は途方に暮れた。
嘘である、見つけるまでやめない。もしも2chにいたならば、騒動に乗じていろいろ特定してしまうかもしれない。お前を蝋人形にしてやろうか。
EAU DE MUGEで「すずらん水」という意味らしいです。
http://www.kanshin.com/keyword/187162
え、スズラン? さっそくWikipedia先生に聞いてみると、このような。
ムー、ミュ、ミュゲ、おまえミュゲだろうが。スペリング違うがな。MuguetであってMugeではない。元がフランス語名の薔薇の名前が無茶苦茶なカタカナで流通していたりするが、アルファベ略すとは。
こちらによると、古くからある商品だし、言われてみれば昭和の語感か。
……って、どこでも「スズラン」という公式見解はだしていないか。葉っぱのイメージが似ているような気もするけれどね。もちろん、フランス語のスズランを元にした造語であってなんの問題もないのだが。いやはや。
というわけで、「オードムーゲ」は「オードミュゲ」だった。ミュゲといえばミュゲロワイヤルなどであって、ミュゲロワイヤルの母はベニスズランだったりするのが好もしいが、まあともかく正体見たり枯れスズラン。いや、潤いの製品にそれはよくないか。それじゃあ、次はキヨーレオピンについて調べるから、おやすみ。
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↓Amazonや楽天でも売ってんじゃん。
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