この邦題……『キラー・スナイパー』

 この映画を見終えた人の7割くらいは、「なんで『キラー・スナイパー』?」と思うだろう。おれは思った。思って原題を見れば『Killer Joe』であって、たいしてかわんねーじゃんといえばそうかもしれないが、いいやそれでも『キラー・スナイパー』はねえよなぁ。そのうえ、どうもこの作品は劇場スルーでDVDはレンタルのみ、みたいな話らしい。それももったいねえよなぁ。
 舞台はアメリカ白人貧困層。博打の借金を返すために、保険金目的で母親を殺そうとする家族。その殺しを請け負うのが警察官であり裏の家業で殺しを請け負う「キラー・ジョー」なんだけれども……。スリルもあるしサスペンスもある、エロス(フラドチキン!)もあればバイオレンスもある……んだけど、全体を覆うすげえすげえ「ダメ」な感じがなんともいえない。アメリカの片隅のすげえダメな地域のすげえダメな連中がやることなすことダメって感じで……。そんなかでもジョーはダメと一線を画す存在なのかもしれないが……やっぱりどっか狂っててあかん。みんな狂ってる。その「ダメ」がすごいあかん感じで……場外馬券売り場の名前はキング・オブ・スポーツだったか……。
 そしてシュールな、あまりにもなんというか、そういう結末があるのか! というところで置いてきぼりにして、映画は幕を引く。あっけにとられる。こういうものもあるのか。『キラー・スナイパー』というタイトルで。という。まあなんつーのか、これをコメディとして楽しめる人ならば(って観たあとじゃなきゃわかんねーじゃん)、レンタルしてみるのもいいんじゃないでしょーか。おしまい。