副題は『双極性障がいの正しい理解を求めて』。「障害」の「害」の字を開いているのは編著者の意志あってのことらしいが、おれは面倒だし、なんか変だと思う(だったら「障」の字に悪い意味はないのか、とか)ので「障害」を使う。この本は現場のお医者さんから研究者、当事者までいろいろの人の文章で成立しているが、人によって「害」の使い方はまちまちである。
おれは一応というか、一応といったら問題があるか、医者から「双極性障害」と診断を受けている身であって、双極性障害に関する本などはできるだけ読みたいと思っている。思っているが、「リチウムが有効だとわかっているが、その機序がわからない」というあたりから新発見は今のところないように見える。ちなみにおれはリチウムでもバルプロ酸でもなくオランザピンを飲んでいるんだけれども。それにしたって、機序がわかっていないのはかわらない。
まあ、とはいえ、自分自身がこの障害に付き合って生きていかなければならない点について、改めて我が身を省みるために、本は読まなければならないのだ。
双極性障がいで合併しやすい身体疾患として、糖尿病があります。双極性障がいのうつ状態では、過食と過眠を伴うことがあり、その結果、肥満が起こり、糖尿病を起こしやすくします。また、肥満は睡眠時無呼吸症候群のきっかけになることもあり、これも双極性障がいで合併する可能性が高いことがわかっています。
「双極性障がいの診断」尾崎紀夫
これなんか、どうだろうか。おれの両親、そのまた両親ともに糖尿病の血糖もとい血統であって、しかもおれは睡眠時無呼吸症候群の診断をうけている。言っておくが、おれはそんなに太っていない。おれに直に対面した4人ほどの人間ならそう言って……くれるかな。まあいい、ともかく、顎が小さいのだ。そして、睡眠時無呼吸症候群なのだ。でもって、糖尿病はオランザピン(ジプレキサ)にとって禁忌(飲めなくなる)なのだから、おれは必死に糖尿病から逃げようとしている。そのためにダイエットもしている。ここ30日間で4kg痩せた。炭水化物をできるかぎり摂らないようにしたのだ。運動は、とくにしていない。躁鬱の鬱の方が出ていて、動く気がしない。過眠が強い。
また、双極性障がい以外の他の精神障がいが合併している可能性についても検討することが重要です。双極性障がいに合併することが多い精神障がいとしては、パニック症などの不安症とアルコールなどの薬物使用の問題があります。不安性が合併していると「とても耐えがたい不安」を生じる可能性があり、その結果、自分を傷つける危険な行為に及ぶ可能性があるので注意を要します。また飲酒は双極性障がいの再発のきっかけになりやすく、飲酒の対応は治療上重要です。
「双極性障がいの診断」尾崎紀夫
ああ、もう、見ているなジョースター、という気分。おれはもう仕事をしている時間以外では、酒なしでは安静を保っていられないくらいのものであって、アルコールの摂取量はかなり右肩上がりといっていい。現に今だって焼酎をごくごく飲みながらこれを打っている。でもなあ、わかっちゃいるけどやめられないんだよ。なにかこう、このままアルコールのみを養分として、ミイラみたいになって死んでしまってもいいような、そんな心もちなんだ。いやはや。
というわけで、こないだ医者に行ったとき、「ここんところ冷静に自分を観察して鬱の方に振れているのがわかります。なんか上がる薬ないですか?」と言ったら、SNRIのベンラファキシン(イフェクサー)を勧められた。双極性にSSRIやSNRIはよくねえんじゃねえの? とか思ったが、とりあえずお試しに処方してもらった。ゾロがないのでたぶん来月は拒否すると思う。個人的に個人的な方法で入手しているSSRIのビッグネームに頼ろう。
まあ、それはそうとして、こんなおもしろい(?)話も載っていた。
日照時間にさほど差のない同じ県内であっても自殺率に高低があるのが通常です。双極性障害の予防薬である炭酸リチウムの研究で知られる大分大学の寺尾教授らの調査によれば、県内の水系によって水道水中のリチウム濃度に差があり、リチウム濃度の高い地域ほど自殺率が低いという結果が示されています。炭酸リチウムは、あらゆる薬剤の中でも唯一自殺予防効果が認められているものです。
「自殺を防ぐ」坂本薫
これなんか、まじかよという話だ。フッ素を水道水に混ぜたら虫歯が減るとか、そういう感じだ(真偽はしらんが)。まだまだ自殺大国日本、水道水に炭酸リチウム混ぜたらいいんじゃねえの。なんとかの電話より効果ありそう。
そんなリチウムについても、現状はこんなところ。
リチウムは単なる金属イオンです。このようなイオンが双極性障がいに有効なのかは本当に不思議です。
「双極性障がいの薬はどのように効くのか」仙波純一
おれはリチウム飲みじゃないけど、なんなんだろうね、人間の脳みそ君は。
あとはまあ、当事者さんによるエッセイ漫画的なものとか、まあいろいろ。おれがたぶん信用できる人なんだろうと思っている水島広子先生や加藤忠史先生も寄稿されている。とりあえず自分が双極性障害と診断されたとか、家族がそうだとか、そういう人は手に取ってみて損のない本だとおれは思う。
最後に、なんとなく見出しに「はてな双極性障害クラスタ」なんて書いてみたが、まあ、なんとなく書いてみただけだ。ただ、おれのような小物はともかく、「けっこういるんじゃね?」と思うこともたしかであり、そのままにしておく。以上。
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