まさか、桜玉吉の名前を「文藝春秋の新刊」で見る日がくるとはなぁ。玉吉もなぁ。
……というわけで、桜玉吉の『日々我人間』である。
ときおり、コンビニで週刊文春を見かけると、目次を見て、ページを捲り、この誌面の片隅にあるこの漫画を見て、桜玉吉の生存を確認していた。へんな話だ。漫画が面白いとか面白くないとかじゃあなくて、漫画家の生存を確認していたのだ(それでいて週刊文春を買わないのだから以下略)。だが、こんなやつ、けっこういるんじゃあないの? とくに、おれのようなファミ通世代(これも幅があるか)には。
しかしまあ、こう言っちゃなんだけれども、単行本になってよかった。またこれがコミケで自費出版とかになると、さすがに手に入らない。それがAmazonで買える。Amazonもオススメしている。日本の未来は明るいですよ。 明るいのかな。いや、きっと明るいんだ。
それにしても、もう、玉吉の娘さんが成人してんのか、とか思ってしまう。いい年こいたおっさんたち(O村、ヒロポンなど)といろいろやっていたころの玉吉の年齢に、自分もなっているのかな、などと思ってしまうところもあり。それでも、玉吉は逆走自転車に怒り、漫画に描いている。負けちゃいらんねえ、という気にもなる。いや、なんの勝負かわからねえけど。
ともかく、玉吉は生きていた。伊豆で。おれは、またこれ失礼な話だが、コミックビームを読んでいないのでよくわからないが、ともかく、伊豆で、だ。伊豆でタイワンリスやシカやムカデと戦っているのだ。他人の銭湯マナーにむかついてんのだ。やや愚痴っぽいのが多いのも歳のせいだろうか、どうだろうか、わからんが、日々を生きてるんだ。おれも心の病持ちとして、今の玉吉の年齢くらいまで生きられるんじゃねえかとか思ってしまうところもある。
漫画家が愛する漫画家。それが桜玉吉。もちろん、編集者にも愛されている。
……長年世話になっているカドカワの漫画編集長Oさんから「おまえがそんな事してるから若い漫画家がいざとなったら玉吉みたいに漫喫暮らしでいいやなんて言い出す奴がいてシメシがつあんのじゃ伊豆行けや!」と脅迫された事と……
こんなふうにあとがきにある。ひょっとしたら、本当に「ゆるやかな大麻コミュニティー」ならず「漫画コミュニティー」が伊豆あたりにできてしまう、なんて妄想もするけれど、なんとなく玉吉は「ムキー」となって出ていってしまう気もする。
まあともかく、ファンなら黙って買っているだろうし、それほどファンじゃない人もできたら買ってほしい。文春誌面ではやや小さく読みにくいと感じていたものも、単行本になってみると、これがわりと読み応えがある。プッと笑ってしまうところも少なくない。損はしないですぜお客さん。いや、しかし、1巻って書いてないから、次出るのかな……。いや、読もう! 桜玉吉、これでいきましょう。以上。
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