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フォークランドは僕らの島だ

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赤いジャージ着たおっさんが自販機の釣り銭と自販機の下に手ェ突っ込んで小銭集めしてたら、道のあっちがわからグレーのジャンパー着たじいさんがやってきて、大声で「それは俺んだ、馬鹿野郎!」と大声で怒鳴ったものだから、関係ないおれまでびびった。赤いジャージのおっさんはどっか行った。

いや、たしかにグレーのじいさんがよく自販機の釣り銭ンとこに手ェ突っ込んでるような気はするぜ。するけどよ、べつにあんたの自販機でもねえだろう、とか思った。思ったが、もちろんかれの主張する「それ」は、置き忘れた釣り銭や落ちた小銭を拾う「権利」ということだろう。

しかしまあ、その「権利」というか、縄張りはどういった力関係で設定されているのだろうか。なにかこう、サイクス・ピコ協定みたいなものがあって、そこんところの権利はこのじいさんのものかもしれない。しかし、赤いジャージのおっさんが「ナニコラ、タココラ!」とかいって紛争がおきたら帰属はどうなったかわからない。

……とか考えていて、ふと思い浮かんだことがある。おれはここらの自販機に510円吸い込まれたことがある。金を入れても自販機が反応しない、返金もきかない。結局、電話して対応してもらった。

goldhead.hatenablog.com

結果として、折りたたまれた紙片がコイン投入口の奥につっこまれているというイタズラだった。……イタズラ? これがイタズラじゃなくて「俺んだ」の正体だったらどうだろう。500円玉とか吸い取られても、面倒だから諦めるやつとかいるだろう。そして、あのじいさんが吸い込まれた500円玉を吸い出す技術を有していたら? そういう意味での、もっと厳格なシノギのシマかもしれない。フサイン=マクマホン協定みたいなもので、そう決まっているのかもしれない。

いずれにせよ、これは近い将来、外で暮らす家のない人になりかねないおれにとってはよい学びになった。いや、外で暮らす家のない人になるくらいだったら死んだほうがましだろうか。おそろしい、おそろしい。

――だがみんな生きとしいけるものはおまんまというものをいただかなければならないのが、実に厄介センバンだよ。これにはシャッポだ。だから私は凡そおかねのない人達がどんなことをしようとやろうとたいていがまんしてむりもないなと考えながら傍かんしているんだ。

 辻潤「だだをこねる」