国会は八百万の習合か

 今朝、自分が知る限り二つのワイドショーで取り上げられていた人物が、安井潤一郎氏である。自民党の候補として、東京ブロックの比例下位に名前を連ねていたら、思いがけず当選してしまったスーパーの店長だ。早稲田大学のボウリング部で武部勤幹事長の後輩だったとかで、名前を貸すだけのような気持ちでいて、ビックリしているとかなんとか。「憲法や外交について、商店街の会長に聞いちゃダメだよ。だけど、商店街については日本一だ(笑)」みたいな感じで、業務用の白衣に身を包む姿もスーパーの店長以外何者でもない。夕飯は事務所の一角で長男と二人、売れ残りの惣菜をパックからつつくといったありさま。
 俺はこれを見て、「比例名簿の下の方はぬるいのだなぁ」と素直に思った。そして、日頃から頭の中は政治のことだけで、私財をなげうち出馬して、ノド涸らすほど演説して、それでも政治家になれないような人がいる一方で、ひょんな人脈から名前貸したら衆院議員。これも男の人生の妙味なのかって。しかし、国会が国民の代表なら、素のスーパー店長が一人混じってたっていいじゃないか、とも思ったものだ。
 が、検索してみたら、ちょっと様子は違うのであった。
google:安井潤一郎 → 約 16,200 件
google:愛知和男 →約 13,100 件
 googleのヒット数なんて、目安としていいものかどうかわからないが、一万六千件というのはなかなかのヒット数だ。下に並べたのは、一度政界を引退していながら、同じく比例下位で思いがけず当選した(と思われる)、元防衛庁長官愛知和男氏。こちらも歌手デビューしていたりと、ちょっと変わった人なのだけれど、それよりも多い。
 で、安井さんのヒット先をつらつら眺めるに、そこに政界への意志が見られるとは言えないが、街づくりや防災、リサイクルなど幅広い活動をしており、その筋(どの筋?)では全国的に知られている人のようではないですか。いやはや、テレビを見る分には本当に単なるスーパー店主だった。そうか、商店街では〜と言ったのは、ちゃんと裏があったのか。
 いや、もちろん、商店街の会長で食料品スーパー店主なのだ。だが、テレビからはそれ以外の情報が無かった。そりゃストーリー的には、なまじ著書を紹介するよりこっちの方が面白いものな。しかし、普通のスーパー店長が国会に行くのではなくてちょっと残念、……などというのは失礼か。しかしこうなると、次は『スーパーおやじの痛快国会見聞録』ってとこだろうか。今回の自民党のアホみたいな勝利で、同じく名前を貸したつもりだった党の裏方さんや、あるいは社民党にまで議席が行ったとかで、まあ、世の中いろいろあるものだ。それでもって、比例名簿の下位といえども、政治的なものででぎっしり詰まっているのであった。