『超万馬券を10点以内で当て続ける方法』亀谷敬正/構成:伊吹雅也

超万馬券を10点以内で当て続ける方法 (競馬王新書12)

『超万馬券を10点以内で当て続ける方法』
 ……かなーりベタなタイトルですね。このようなタイトルになったのは「馬券本としてわかりやすいタイトルをつけましょう」ってことのようです。「血統ビーム」とか「爆血馬自動狙撃術」では多くの方が「俺、血統興味ないし」で終わってしまうそうなので。たしかにこの2冊は売れませんでした。

 『爆血馬自動狙撃術』を買っていろいろな意味で亀マジサンクスの俺としては、何か妙なタイトルだと思いつつ新刊も買ってみた。買ってみて開いた「まえがき」の冒頭が以上のごとく。そういうものなのか、馬券本の世界。あと、『爆血馬自動狙撃術』が本当に売れなかったのだとしたら、たぶん値段のせいじゃないかと貧乏な俺は思う。
 それでもって、本書の内容はいかに効率的に三連単馬券のフォーメーションを組んで高額配当を狙うかという、システマチックな解説書……などではない。スタイルとしては、清水成駿のこないだの本に似ている。うまいこと亀マジサンクスになった予想を、いかにそう導き出したかと解説する内容。

競馬予想は常に過去の結果論、後付けを練り詰めて、未来への方向性を類推し続けるという、無謀だけれども楽しいゲームです。

 後付け自慢といやあそうかもしれないが、俺はこういう競馬予想スタイルの思考経路みたいなものに興味があるので、こういう本はためになる。つーかそもそも『超万馬券を10点以内で当て続ける方法』なんてあらへんやろ。狙撃術も単複買い続けたら回収率100%超えって地味さだったしな。でも、たしかにもう一発三連単当てたら回収率なんてアベレージは意味がないってのはたしかな話か。まあともかく、世間一般の常識的イメージをデータから覆すというところに、野球におけるセイバーメトリックス的な面白さがある。さらに、血統という競馬のコアを活かすところがいいわ。
 まあ、しかし血統といっても血統表だけ血眼になって見るタイプじゃあないわな。まず、なにより馬場というかコースというか、レース、レースの性格を見極める必要がある。例年の、そしてその開催、その日の。そのバイアス。これ、これをどうにか把握するのは、正直ハードル高いな、俺には。自宅にパソコンがない、ネットがない、これが辛い。つーか、はっきり言ってズブズブの競馬ファンではあるけれども、馬券追究についてはそこまでのめり込めないというか、そもそもお前データとかそういうの駄目じゃん、理系だめじゃんってのもあったりして。まあ、そういう俺にふさわしいのが『爆血馬自動狙撃術』だったわけだけれども(だから巻末の一覧表みたいなのはありがたい)。あと、「チェンジ・オブ・ペース」とか、この本でちらちら触れられているあたりとか面白そうだな。これは血統流行やそういったものと関係あるかないのか、古本を探してみるべきか。
 まあともかく、そういうわけで、この本あたりでもちょろちょろと実践例に線引いて覚えたりして、あと、「スピードの質」についてイメージできるよう、なんとかやっていこうと思います。しかし、日本ダービー前に読んで「いっちょやってやろう!」とか思わせてくれないあたりもいいな。だいたい中京1200の話ばっかりしている、そういう感じだしな。つーか、今週のnetkeibaのコラムの脱力感はすごい(ダービーに対峙する他の予想家と比べて)。

 あと、本書で取りあげられているライブリシュロム、似たようなパターンで大穴開けてんのな、ついこないだ。特定の馬を追うスタンス違うのかもしらんが、まあしかし、そういうこともあるんかな。まあ、ぼちぼちと。でもやっぱ俺は、ダービーとなれば特別だし、情報が多い(雑音も多いのかもしれない)大レースに力入れたくなるし、それはもうとくに崩そうとかいう気はしないわ。なけなしの金を突っ込むなら、やっぱりG1よってね。