君は生薬や生葉という歯みがきを知っているか?

 ↑承前。
 ということで、もはや歯磨き粉に望むことは太陽ケアなみに歯茎ケアといえる。
 そうなると気になるのは、歯磨き粉コーナーで異彩を放つ「生葉」とかの、かなりジジイ向けのそうとう高い連中になる。俺はいつかあれらを使おうと思いながら生きてきて幾星霜、べつに買えない値段でもなく、悪い意味で歯医者の世話になることのリスクを考えるならば、手を出してみてもママに怒られない。
 おそらく、これを目にするブログだの個人日記だのを読むような加齢臭漂う連中も、そろそろ歯槽膿漏が気になってくるお年頃に違いなく、無駄に歯槽膿漏向け歯みがきを買わせようと指嗾してみる次第である。

小林製薬 ひきしめ生葉 100g【医薬部外品】

 「生葉」。力強い文字の羅列が直球で攻めてくるデザイン。これこそが歯槽膿漏向けという大御所の貫禄、環七、カンパチ九貫、実感するのはあくまで薬用だからというストイックさ。色はといえばかなりケミカル寄りのグリーンなのだが、口に入れてみればすぐに気づく人生の苦味。俺の中では紹興酒に感じる苦味に近い。とはいえ、アップルミントやフレッシュハーブを求めて生葉をお口に突っ込むわけではないのだ。その苦味が、人生の苦味が、ヒノキチオールが、我が歯茎を鍛え、整え、未来へ繋ぐ、そう信じてブラシでマッサージしたい四六時中、もう会社には行きたくない。

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 一方で「生薬」、正しくは「ハイテクト生薬の恵み」。こちらはライオンの、小林製薬とはちょっと違うよという、ちょっとおしゃれ仕立ての歯槽膿漏系歯みがきである。色はといえばチューブの練りショウガみたいなナチュラルカラー。口に入れてみると、シュワーっと広がるような自然の恵み。シュワーっといっても、やけに発泡するアメリカンでケミカルなそれとは違う、なにか薬用風のそれである。歯茎になにかよいものが染み渡って、魂が浄化されるという感覚。味も和風ハーブといった具合で、いつまでも磨きたくなる気持ちになれる。やはり会社には行きたくない。

 ……以上が、あくまでわたくし個人の感想だ。そもそもこれらが歯茎に良いのかどうか、知った話ではない。ただ、貧乏の俺が買うのはそれなりの理由や実感があってのことだ。そう、俺はこれらと普通の安売りの、どちらかというと「歯を白く」系の歯みがきを併用していたのだが、こないだ「生」系を切らしたおり、「もうこの不況下では安物一本でいいか」と思い、しばらくそうなったところ、たちまちどうも歯茎に染み渡る冬の冷や水という塩梅であって、やはりこのおっさんの身、歯茎の健康こそが人生の一歩という気持ちになり、多少なりともこれがだれかの役に立つならばと思い、ペンもといキーボードを取って机に叩きつけて、歯を磨きに家に帰らせろと大暴れした顛末である。