昭和生まれからの遺言


 「震災後の日本を語る」でも、「原発とこれからの日本社会について」でもいいけど、なんかテレビとかでジジイとかババアとかがうだうだ言ってて、「今までの生活を見直さなければいけない」だの「本当の豊かさを見つめなおす」だののたまうわけなんだけど、なんかそれお前らの世代の話だろ、お前らの人生の話だろって気がしちゃうんだよね。もう、なんつーのか、そういう高度経済成長的、バブル的、発展、前進、富と豪奢、そんなのは、古いお前ら老害の問題だろうってよ。
 ……って、言う俺もなんというのか昭和生まれの昭和育ち、子供のころは一億総中流分の一でした、なんだよ。まだバブル崩壊なんてのもなくて、エスカレータの先に、就職、家族、馬鹿でかいテレビ、洗濯機、マイカー、CDプレーヤーに自動缶切り機、健康、低コレステロール、歯科保険、抵当権、初めての持ち家、レジャー・ウェア、旅行鞄、三つ揃いのスーツ、DIY、東京フレンドパーク、ジャンク・フード、子供、公園を散歩、5時9時仕事、ゴルフの上達、洗車、セーター選び、家族でクリスマス、物価スライド式年金、税金控除、どぶさらい、なんとかやりくりして、ただ前を見て、人生の終わるその日までって未来が現実だったんだよ。三つ子の魂百まで、百まで生きられる気もしないが、やっぱり根っこでどっか不満感みてえのがあって、「自分ら、生まれたときから日本なんてのは不景気でしたから」という世代とは言えない。乖離、見逃せない違いがある。

 というわけで、ロストジェネレーション世代は自らロストしたものを寂しく見つめながら、社会からロストしていくことにする。これからはジェネレーション・ネクスト、デジタル・ネイティヴの時代だし、もっとしなやかに、かろやかに、言葉も国境も物質も飛び越えて、どこまでも自由にやっていってほしいと思う。君らならできる。無責任に応援だけする! ゲラゲラ。
 ……って、べつにこの世代がロストするってじっさい消失、霧散するわけでもねえし、お荷物の世代としてのしかかるのだぜ。まったくこの世は地獄だな。
 いや、就活とかの話も直接じゃないけど聞くんだけど、マジで、あれだな、俺だったら死ぬな。いやね、大学ドロップアウトしてひきこもりやってたような、俺みたいなのが、それなりによろしく生きてますよ、みたいな、モデルケースとはいわねえけど、そんなメッセージでも送れればあんた、まあいいんだろうけど、現実問題としてそんなによろしくねえのが現状だし、この先も暗いし、なんつーのか、普段言ってることと整合性とれてないような気がするけど、なんか就活のやつに言うとすれば、「できるだけ大きな会社か役所、役所から安定して仕事を受けている、できるだけ上流にある会社になんとかもぐりこんで、しがみつきなさい」ってアドバイスしたいもの。大企業がどうなるかわかんねえ、起業しろとかベンチャーだとか言うけど、日刊帝国ニュース見てりゃおまえ、どんだけ中小零細企業が毎日毎日死屍累々だと思ってるんだというか、でかい会社はやっぱり潰れにくいし、福利厚生とか、なんかもう俺の見たことのないものがあったりするらしいからすごい。
 だからなんだ、日本が、いや、世界中流階級というか、そういうものが死につつあるにしても、まだでかい船に乗ってりゃ死ぬのは後回しだろうし、いや、そうだろ、たぶん、まあ、そういうことだよ、沈んで死ぬ、沈んで死ぬ、俺、泳げないし。それじゃあ。

※以上、主語大きめで書かせていただきイェッス!! ダァ!!