レスリン除外問題について

医院にて

 「どうですか、調子は?」
 「前、心電図がおかしいってなって、すぐ循環器内科行って、あれ、ホルター検査、24時間のやつやって、結果、良性の期外収縮不整脈ってことでした。そんで、アルマール(アロチノロール)でオッケーってことでした」
 「そんじゃお墨付きもらったってことだから、復活させましょう。でも、良性っでも病気は病気なわけだから、それで薬も処方されるんだから、そこんところは勘違いしないでね」
 「あー、そうですね」
 ……というわけで、アロチノロールがお薬手帳に復帰した。が、一方で除外された者もいる。通院開始時から処方されていた抗うつ剤レスリンである。「これは眠りの質を向上させるものである」という医者の最初の説明を深く信じ、ただでさせ睡眠時無呼吸症候群のおれにとってはありがたい援軍と感じていた薬である。こいつが、ひょいっと外された。
 代わりに入るものがあったからである。ジプレキサ。おれが読んだ本では、双極性障害鬱状態に対しては効果ありとのエビデンスなしとのことだったが、タイムラグの間に「あり」となって認可されたらしい。
 双極性の可能性、これについてはあるならあるであってくれてもいいわけだし、慢性的な不安感と急激な憤怒みたいなものがおさまるなら、はっきり言って病名なんて統合失調症だろうとなんだろうとなんだってかまわないのだ。
 それで、今までの処方で楽になっている部分はあるものの、ここのところ怒りのコントロールというか、感情のコントロールがうまくいってないところもあって、医者の指摘もあればそれに乗るのも手か、という気はしていたのである。
 だから、ジプレキサのパンフレット(表紙は若者が暗い部屋で暴力を振るったあとの、園子温の映画のワンシーンみたいなの)出してきて、「試してみるか?」と言われれば、「それじゃ一人前」となるわけだ。
 ……が、「寝る前にジプレキサ一錠、効き過ぎるようだったらカッターで半分に。あ、レスリンは消しときますね」と、ピロっと処方薬モニタから消えたとき、「え」という感じだった。レスリンと新しい薬、秤に掛かるものだったか、と。ジプレキサも眠りによい効果があると言っていたが。
 

飲んでみて

 そんで、まあもう処方されちまったのだから飲む。念のため早めに寝る。そのコントロールマイスリーでやる。
 翌朝、起きられない。体がスローモーションだ。どうしても動けないので、会社に連絡入れてもぞもぞ動く。しまった、休日前日から試せばよかった、などと思う。昼過ぎに出社しても、完全なでくのぼうというか、寝ているのか起きているのかという状態。カフェイン入れて、少し覚醒させてなんとか動けたが……。
 こうなると、「糖尿病禁忌らしいが、おれは両親の両方の血糖に発症者がいるぞ」とか、「もし太るようなことになったら、顎周りの状況が悪くなって睡眠時無呼吸症候群がスリープスプリントで済まなくなるんじゃないか」とか「おれが適度な運動とダイエットをやり出すと強迫性障害摂食障害だぞ」とか、「薬価高いしゾロもない(双極性への効果が認められたがゆえに伸びた、みたいの読んだが真偽はしらぬ。外国のゾロを個人輸入するにしても高い)」とか副作用の悪いとこばかり思いつくもので。
 それで、次に行ったらデパケンにしてくれとか、やっぱレスリン復帰を訴えるかとか思いつつも、それから休日挟んで飲みつづけてとりあえず落ちついているので様子見。ただ、高血糖(っぽさ)は嫌なので、食事は今以上に考えなければいけない。めんどうな話だ。細かい攻撃でダメージをくらい、体力を奪われる。どうにかしたい。