とんとことことん

あっちとおもえば、こちらでとんとこ、くるりと回って千鳥足、つかまるようでつかまらない。どんと座って一張羅、あげる名乗りを聞くものなし。これはこまったこんこんこん。そしたら逃げた、みな逃げた。もっとおおきくこんこんこん。あちらやこちらに蜘蛛の子ちらし、これはゆかいとはねあがり、とんとんととんとたたらを踏んで、おーい、おーい、こんこんここん。えっへんどうだ、まいったか。そしたらうしろでとんとことんとこ、おしりを出したかしっぽを出したか、そうれと手をのばせば、するりと消えてけむりむりむり、ぱっぱらぱー。いよいよとさかにきたぞと、こん棒片手に地面をどすん、もぐらもびっくり、もぐもぐもぐ。どこを蹴ってもからからからぶり、いよいよめだまもくーるくる。まぶたをとじてもとんとことんとこ、どなってみてもとんとことんとこ、こんこんしてもとんとことことん。こいつはまいった、耳をふさいで山くだる。そしたら坂道ころんでごーろごろ。すっかり大の字、お空を見れば、二羽のとんびが輪をかいた。