おれは知らない間に双極症になっていたようだ

おれは知らない間に双極症になっていた。症状の話ではない。名称の話だ。

双極性障害[第2版] (ちくま新書)

双極性障害[第2版] (ちくま新書)

 

おれはおれの持病、おれの障害であるところの双極性障害躁うつ病)について、できるだけ知識を得たいと思っている。おれは骨折をしたことがないから言い切れないが、骨折した人が骨に特別の興味を持つことはあるだろうか。いや、あるかもしらん。ま、ともかく、おれの勝手な想像だけれど、精神疾患者は自らの病気や処方薬に興味がある……ような気がするのだが、やっぱり言い切れん。

まあいい、ともかく、たまに「双極性障害」という文字列で、なにか新しい本が出ていないかチェックする。そこで見つけたのが上の本である。加藤忠史『双極性障害【第2版】』、これである。

これの第1版は読んだ。

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最初にこの病気について読んだ本だ。しかも、医者から「双極性障害」と診断される前に読んでいる(しかし、前後の状況がわかりにくいな。あまり正常とは言い難い)。で、この内容が非常にためになり、また「加藤忠史医師というのは信頼できる書き手である」ということを学んだ。加藤医師の本は医療者向けのものも含めておおよそ読んでいる。

まあいい、ともかく一回読んだ本だ。だが【第2版】で発行年が2019年なのである。とりあえず読んだ。

で、話は冒頭に戻る。おれが患っているこれは、知らない間に「双極症」になっていたのである。サブタイトルを注意深く見ると「双極症I型・II型への対処と治療」だ。

では、少し長くなるが、どうしてこうなっているのか引用しよう……と、思ったけど、長くなりすぎるので、かいつまんで説明……したいのだけれど、なかなか難しいのでここでキーを打つ手が止まってしまった。

雑に説明すると、「バイポーラー・ディスオーダー」を「双極性障害」と翻訳してて、それは「ディスオーダー」を「障害」と訳すことになってたからで。で、なんで病気を意味する「ディジーズ」ではないかというと、この病気の病理が解明されていないからで、「オーダー(秩序)」が失われていると。ところが、「障害」と訳される英語には「ディスアビリティー」があって、これは「何らかの能力が失われた状態」、ハンデキャップを意味する。ディスアビリティーは治癒することがないということで、それでは誤解がある。なので、DSM-5の翻訳時に日本精神神経学会はディスオーダーを「症」と訳すことにした、と。だから、不安障害は不安症に、パニック障害はパニック症に、強迫性障害強迫症に、ということにな……っていくらしい。でも、「双極性障害」という言葉が論文などでも多く使われてきたから、本書は「双極性障害」でいくらしい。でも、サブタイトルに「双極症」を入れたらしい。

……ようわからん。そもそものそもで「躁鬱病」でよかったんじゃねえかという気すらしてくる。でも、やっぱりその、病理がわかってねえからみてえなところがあるんだよな。でもって、やっぱり、第一選択薬がリチウムやし……というのはかわらんし。でもって、これだよな。

双極性障害は、精神疾患の中でも、脳や遺伝子といった身体的な側面が最も強い疾病であり、「心」の病気ではありません。

統合失調症よりもか、という感じではあるが、そうなのだ。それでうつなのだ。

患者さんがやらなければいけないこと、それは定期的に病院に行き、医師と五分くらい話をして薬を処方してもらい、それを寝る前に一回だけ飲む、ということです。

おれは今のところ、定期的に病院に行き、薬を処方してもらっている。リチウムでなくオランザピン飲んで。まあ、なんかわからんが、双極性障害の薬の開発もあんまり進んでないみたいだし、そんなところだろう。

あと、もう一冊読んだ。

 

双極性障がい(躁うつ病)と共に生きる 病と上手につき合い幸せで楽しい人生をおくるコツ

双極性障がい(躁うつ病)と共に生きる 病と上手につき合い幸せで楽しい人生をおくるコツ

  • 作者:加藤 伸輔
  • 出版社/メーカー: 星和書店
  • 発売日: 2016/01/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

これは双極性障害者の当事者による体験記のようなもの。この人はこの人のポリシーで「障がい」としている。おれはあまりこの手の漢字の開き方は好きじゃないのだが(そもそも「障」だってマイナスイメージのある漢字じゃん、とか)、それはそれでいいだろう。でもって、この人のこの人なりの双極性障害との付き合い方があって、おれはまたそういう同病相憐れむ……わけでもないけど、いやあ、あんたはそうかい、その調子なのかい、こっちはこうさ、どうにもならんよって気になるんよな。骨折をした人が……といったらなんだけど、まあ、おれはこういう「症」になっていて、いろいろと気になるのさ。

で、おれ、今後、自分の「これ」をどう表記していこうか。いまのところ、加藤さんの本で「双極症」という言葉を知ったくらいだし、しばらくは「双極性障害」といく。世の中が「症」になってきたら、そっちに、というところで。以上。