「クマに都会のドングリを…自然保護団体が呼びかけ」http://spica.tdiary.net/20041018.html#p06という記事を読み、「それならば『ドングリ銀行』から融資を受ければいいのではないか」と思った。
「ドングリ銀行」は文字通りドングリの銀行である。森でドングリを拾い、銀行に預ける。すると、一般的な銀行と同じような通帳が作られる。そして、どんどんドングリを貯め込んでいくと、苗木やドングリグッズとして払い戻されるのだ。一方、集められたドングリは、発芽させて苗木として育てられる。また、治山工事現場に直播きされたり、クラフトなどの自然体験に用いられる。
そんな運動を行っているのは、香川県とNPO法人どんぐりネットワークhttp://www.pref.kagawa.jp/midoriseibi/donguri/である。もちろん、ドングリから苗木を育てるという目的もあるが、この活動を通して森林への意識を広めようという意図のようだ。香川でも里山や雑木林が失われているらしい。
この運動がナイスアイディアだと思うのは、「ドングリ拾い」を利用したことだ。山や公園で意味もなくドングリを拾い集めたことは、誰しもが持つ思い出だろう。いっぱい集まったドングリのコレクションは、宝物だ。だけど、そこには物足りなさも残る。それが実際に何か価値を有するわけでもないと、子どもにだってわかる。そこで、実物風の預金通帳とくる。しかも、ドングリの種類によって価値が違うのだ。たとえば、クヌギ、アベマキは10D(ドングリ=単位)、ウバメガシやアラカシ、コナラは1Dといった具合。これは燃える仕掛じゃありませんか。
もう一つこの運動で感心するのは、宣伝広告のセンスだ。サイトでも見られるどんぐりのキャラクタは、まるで装着途中のコンドームのように可愛い。そして、通帳の本物志向や、大人用・子ども用に分かれた印刷パンフレットのデザインなども優れている。こういう運動は、いくら理念や理想が素晴らしくても、上手く伝わらなければ白けて中折れしまうものなのだ。