きのうの出来事

 昨夜、日本テレビのニュース番組「きょうの出来事」を見た。雲仙普賢岳噴火の火砕流で死んだカメラマンのテープを復元したという内容で、なるほど鬼気迫る情景が乱れた画面の端々から伝わってくる。これには思わず見入ってしまう。
 しかし、この件に関する日本テレビの姿勢は歯切れが悪かった。当時、警告を出しながらマスコミに無視された学者を出したりして、反省の色を見せないわけでもない。しかし、当時のデスクが「他社も居たから……」などと言うわりには、死んだカメラマンを「シンデモ メカラファインダーヲ ハナシマセンデシタ」と讃える風でもない。どちらかハッキリしろと言いたい。一社だけネタを落とそうとも人命第一で行くのか、人死にが出ようが構わず行くのか。
 そもそも、ああいう映像やレポートが必要なのかよくわからない。どこら辺に報道の使命があるのか。無人定点カメラで撮ればいいだろうに。むろん、テレビとしてはこう言いたいだろう。視聴者が望んでいるのだ、と。すなわち、そういう緊迫感迫る映像の方をみんな見るだろう、と。そりゃそうだ。けど、それに付き合っていていいのか? 特に俺のような卑俗で下劣な人間が見たいのは、むしろ人が死ぬようなシーンだ。まさにそのものだ。それに付き合ってくれるのか。そうしてくれるなら、そうアナウンスメントしてくれ。そうでなければ、中途半端な報道の使命など掲げずに、素直に逃げてくれ。そのどちらかだ、おためごかしはいらない。やるなれやれ、そういうことだ。