『耳鳴り』チャットモンチー

耳鳴り
 ついついsakusakuビョークっぽいボーカルを見ていたら買ってしまった。……というのは嘘で、ついに耐えきられなくなって買ってしまったのだ。何に耐えようとしていたかと言えば、物欲。俺は、チャットモンチーが馬鹿売れして、安く安く中古を買える五年後を楽しみにしようと、去年の十一月には思っていた(http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20051124#p3)わけだ。ところがどうだろう、最初に耳にした「ハナノユメ」以降も、「恋の煙」に「恋愛スピリッツ」と、まったく俺のつぼを外さない。これは待ちきれないと、思わずアマゾンでポチッとしてしまい、その気持ちを察したアマゾンが一日で届けてくれたというわけ。
 そんなわけで、一昨日から会社の行き帰りに、アパートでの料理中、食事中と聴きまくってる。聴きまくっての感想は、もう、「予想以上にすばらしい!」としか言いようがない。
 それまで音楽をやっていた人のデビューアルバムというのは、ほとんどベスト盤に近い。メジャーデビューできるだけの才能の持ち主が、それまでに溜めてきたものを一気に放出する、そういうものだからだろう。で、このアルバム、もちろんデビューの勢いはある、あるけれどそれだけでない。いろいろの引き出しを随所に見せ、それでも「おおっ」と思わせる何かがある。ああ、でもどうでもいいや、とにかくかっこいいし、ロックしてるよロック、ビューだよ、ビュー。思わず聴きながら体動かしたくなってくるような、かっこいいロックだよ。骨太で、それでもメロディアスだよ。
 つーわけで、もう買って良かったと。むしろ、このタイミングでばっちり買えてよかったと。たとえば今後、二作目、三作目とすすんだあとに、一を振り返る形で出会っていたらどうだったか。たらればになるけれど、ここまでのインパクトはなかったかもしれない。あるいは、音楽の幅、音の幅が広がって(きっと広がる、それだけの引き出し多さがうかがえる)、少し物足りなく感じるようになるかもしれない。だからこそ、今。
 ちょっとだけそれぞれの曲に。トップバッターの「東京ハチミツオーケストラ」は、これぞトップという曲。「ハナノユメ」と「恋の煙」はアルバム・ミックスということで、耳にしていたと違っていたらどうしようとか思っていたけど、そんなに極端なアレンジじゃなかったよ、というか、あんまり違いわかんなかったよ(これで残念なケースは椎名林檎の「幸福論」かと思うがどうだろう。そういえば、少しだけ椎名林檎に似ているようにも思える)。で、「恋愛スピリッツ」は女のこわさを感じちゃうような歌詞も魅力。「終わりなきBGM」は年柄にもなくどきどきしちゃうが、俺の過去を掘り返したらドラマや昔話でしか知らない話かもしれない。まあとりあえず、こんなところで。