マニュアライズドチャイニーズガール

 今朝、近くのコンビニに寄ってきた。レジに、はじめて見る店員がいる。髮をちょっと脱色して、肌は日焼け、今風の女の子。俺は「珍しく日本人を雇ったのだな」と思った。レジ待ちをしながらそう思っていた。このコンビニの若い女性店員は、ほぼ例外なく中華系だからだ。中華系バイトの子たちは、あまり愛想がよいわけでもなく、あか抜けてもおらず、そこが逆に新鮮で面白い。たとえば、このレジの子のように、全国共通のコンビニ店員風の声を出したりはしないのだ……。
 と、ところがどっこい、ネームプレートを見れば彼女もチャイニーズ。これにはびっくりした。レジの中で立ち振る舞う限りにおいて、たとえ俺が一日中彼女を見ていても、日本人でないと気づく自信はない。鼻から抜けるような高い声で、マニュアル通りの受け答えは今風若者の平板なイントネーション、そしてスムースなレジさばき。いやはや、何というか、カンペキだ。それがカンペキでいったい何がどうということはないのだけれど、うーんと唸ってしまったのであった。