『ヴァイブレータ』

ヴァイブレータ スペシャル・エディション [DVD]
 大森南朋寺島しのぶ、これすごいね。ええね。俺、大森さん、『ハゲタカ』の鷲巣さんでしか知らないけど、いや、こりゃまたね、金髪で乳首ピアスのトラックドライバーだもんね。でもね、そんなね、車中の会話だけでもたせるんだよね、雰囲気がさ、いいよな。単に粗暴なだけではない男、優しいだけでもない男。この、妙な微妙さの、成り立つこと。
 そして、寺島しのぶの、顔のアップでもたせられること、これもすげえね。女優やね。ラストのね、レジ、のね、いいことね。その前に、トラックから女を見る、大森の表情も、なんといっていいかわからんくらいのね、よさやね。
 でね、ロードムービー、風景、車窓、これいいね。俺ね、邦画が好きなのは、日本の、俺の知ってる風景の、その流れることのよさね、道の風景ね。それに弱い。『ジョゼと虎と魚たち』とかも、そういうとこに弱い。そうすると、もう、この映画だって、まさに、景色と音楽びたっと来てて、もうそのままあと二時間走りっぱなしで終わってもいいやとか、そういう日の出ごろの、オレンジ色の、あるいは、雪景色の中のさ。
 忘れちゃいけないのはハードセックスやよね。アダルトビデオは、このくらいのエロさあった上で、本番しろよって。寺島の、リアル肉体、ええよね。あと、ブーラジャーの妙に安っぽいような、ピンク色の、風情ね。ラブホのシーンの、後ろ姿の、ラインの感じね。グッとくるところあるよね。
 で、ストーリー? というか、この女の内面劇は、まあ、こう言ってしまってはなんだけれども、ま、それがないと成り立たないのだろうけど、印象が、あまりないというか。一切、頭の中の声、字幕の声無しだったら、どうだろう、成り立たなかっただろうか、それでは、映画にならないだろうか。無線のシーンもよかったよね、CQCQ