爆発力がねーなー。『千年女優』でも感じたけどさ、なーんかよー、突き抜けるところがねえなー。つまらない映画でもなければ、ましてや駄作でもねえけどさー、500万条件のダート千八の柴田善臣みたいな感じでさー、上手だねー、でも、だから何なのー? みてえなところがあってさー、やっぱり映画とかって、どっか突き抜けて「うわー!」って思わせなきゃ、もったいねえよって、俺ってそう思うし、ましてやこの映画は夢がメーンテーマなんだからさー、悪夢のパレードもどっかで見たような人形のイメージにさー、丁寧にきちんと巧く作ってるのはわかるけどさー、よくできた秀作ですねーってところでさー、もっとクラクラさせてくれよ、ぜんぜんクラクラできねえよ、シーン移り変わりの七変化も、よくまとまってるだけでさー、お色気にしたって、グロさにしたって、どうもさー、優等生的、計算づく的でさー、親切すぎるっていうとなんだけど、過剰さとか、客を置いてけぼりにしても、みてえなところがなくてさー、置いてきぼりにされたらされたで、「意味わかんねーよ」ってなるんだけど、まだそっちの方がいいっていうか、そう思ってしまうのはさ、やっぱりこの『パプリカ』というか、監督というか、アニメというか、捨てがたい一流のテクニックというか技術というか完成度というか、そういうものがあるだけにさ、その上なんか魂を、ゴーストを、ソウルを、スピリットを、G1で決めうちしてくる角田晃一みたいなのを、求めたいわけさー。だからさー、林原めぐみがうまく演じ分けたパプリカと千葉敦子のさー、とくに千葉敦子の地味ーな話とかさ、そんなのが見たいとか思ったりするわけでさー、それはそれでいいけど、せっかくこういうテーマで自由自在に妄念イメージ爆発させられるところなんだからさー、見ててさー、理事長の頭がいつパッカーンってなって「生死去来 棚頭傀儡 一線断時 楽楽磊磊」って出るのかなーとか、そんなんばっか気になったりさせんのは惜しいじゃーんって、俺はそう思ったな。でもさ、音楽は、平沢進の音楽はよかったなー、よかったよー、でもさー、「白虎野の娘」一曲(太っ腹にダウンロードできちゃう)と、映画比べてさー、あれー、「白虎野の娘」の方がよくねーみたいな、そういうのが、なーんかもったいねーってさー。
追記:筒井康隆と私______________________
これの原作は筒井康隆でさー、文字通りの食わず嫌いでさー、俺って筒井康隆の本読んだことねーのねー。人並みに読書してるはず……とは思うんだけどさ、筒井作品知らないの。理由はたしかに覚えてることがあって、中学校のころ、地理の教師が授業脱線してなんか勧めててさー、その教師のことが嫌いで……ってことは全くなくてさー、頭もいいし話もわかるしセンスもあってさ、そこで筒井勧めてるのも、いわゆる教育的目的じゃなくて、本当に面白いもん勧めてるんだろうなーってのはわかったわけー。でもー、なんか変な自意識でさ、じゃあ筒井はみんなが読めばいいよ、みたいなところがあって、だったら俺、親父の書斎の本棚から別の探すしって、妙なところでさー、星新一読むかわりに稲垣足穂だろみたいな、よーくわかんねー趣味ってのがあってさー。それでそのまま放っておいて、別にほかに読む本あるしってことで、筒井作品に触れずにここまできて、でもたとえば『世にも奇妙な物語』とかで原作にしてるの読んだりさー、どっかで対談とか書いてるもの読んでもいいなーって思うしさ、別に「嫌い」の要素なんてのはなくて、まあ、単なる「読まず」だなー。俺の中の一大「読まず」。それで、原作小説借りたから、いよいよ手を出すかもって思ってたりー。わかんねーけど。
関連______________________
- [http://d.hatena.ne.jp/goldhead/20080324#p5:title=『映像のための音楽』平沢進……主題歌、こっちに入ってるバージョンの方が好きだなー。
- 『千年女優』