※地球滅亡後に悪魔がおいしくいただきました。

飢えている人民が何億人といるこの時勢。吾輩は、「ビールかけ」「シャンパン・ファイト」という『地球という生命体に失礼な行為』が公然と行われ続ける限り、どんなに素晴らしい記録や歴史的な事態が起こったとしても、その競技を応援しないことをここに宣言する。

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1336382.html

 デーモン小暮閣下のこれ。これ、なんというの、これ、これって、「なにいってんの? バカ? 死ぬの?」で退けちゃいけねえことなんだけれども、やっぱりその、ようわからんが、しかし、なんというのか、直截的にさ、飢えとかの問題に注目をひきつけるような、そういう意図というか、狙いは、半ば成功してんのかもしんないけど、吾輩、どうも、ちょっとやっぱり、これはこれで、目を逸らすことになるような気もするし、うーん、そうだな、たとえば、ビールが人の口に入るものだからといって、シャンパンがそうだからといって、そこまで特別視する必要はあるの? というような。

 食べ物を粗末にしてはいけない、というのはもっともな意見である。しかし、今の日本において食べ物が粗末にされているのは、お笑い番組やそれに影響される子どものいたずらなどで語られるレベルではない。いったいどれだけの量の食料が、日々、家庭や、コンビニや、飲食店で廃棄されているのか。今、日本人が「もったいない」の精神を外国人から称揚されたら、それを誇るべきではなく、現状に恥じなければならない。それだけの量の食料が日々廃棄され続けている。もし、食べ物の粗末を問題とするならば、そのような巨大なシステムに向けられるべきであり、お笑い番組を消すことによって隠蔽して済まそうというのは卑劣だ。
 また、お笑いを不当に低く見るのはなぜか。社会派ドラマや映画で食事が台無しになるシーンがあったとして、それに対する抗議など聞いたことはない。あるいは、お墓や交通事故現場に備えられる飲食物はどうなのか。あれも人の口には入らず無駄になるには違いない。そこで「それらを下品なお笑いと比べるべきではない」と言う意見もあろう。しかし、それは笑いをあまりに低く見積もった考えではないか。「泣き」「感動」をやたらありがたがる風潮があるが、「笑い」はそれに何らひけをとるものではない。むしろ、廃棄食料に比べれば、ほんのわずかどころではない少量の食料で、多くの人間精神に笑いをもたらすならば、食べ物は一食としての価値を超え、有効に用いられたと言うべきである。

流れよ我が麺、とペヤングは言った - 関内関外日記(跡地)

 まあ、これは、このあと、「リンカーン」の企画をディスるための枕みたいなもんなんだけれども、俺はまあ、実際、こう思うわけなの。で、この場合は、お笑いに使われる食べ物についてだけど、まあ、ビール掛けにも敷衍できるかな、と。
 で、まあ、食べ物は食べ物、その対象が植物であろうと、ほかの生命を奪ってできているものが大部分である以上、まあ、それなりのリスペクトは必要なわけだ。だけれども、そのリスペクトっつーのか、「どのように消費されるか」というところで、なんつーのか、その、「人の胃に収まる」以外にもありうるだろって。
 たとえば、なんかすげえスポーツがんばって、結果が出て、そんときぶっかけられるビールってのは、なんつーのか、たとえばしみったれた俺が自棄酒で飲んだりするビールより、どっかの居酒屋で誰かが飲み残すビールより、アル中が命削って、家族泣かせて飲むビールよりも、なんつーの? ビールの気持ちはわかんねーけど、それはそれで幸せじゃねえの? リスペクトじゃねえの? 不味い酒として飲まれるよりもさ。同様のことは、なんかドラマや映画やバラエティの中で、きっちり役目を果たしたところにも言えるんじゃねえの? と。
 でもって、その、その部分の余裕ってのはたしかにこの日本社会にはあるし、一方で、餓えて死んでるやつもいるしさ。そこんところで、自分の豊かさを意識しとけよって、まあ、ちょっと、なんだ、「誰が豊かだ、バカヤロウ!」と言いたくなる気持ちもあるが、ようしらんが、世界水準では上位数パーセントとかいうし、そんで、それも無視できねえけどさ、そんでも、「ビール掛けやめよう」って言われりゃ、そんな禁欲主義というのか、そういうのって、嫌だなって思うし、だいたい、日本国民が毎朝ビール一ダースぶっかけてから仕事に行くとかいうならともかく、そうでもねえようだしさ。だいたい俺、ビール掛けやってる人間見たことないし。
 まあ、そういうわけで、「言うことには賛成だが、言い方が気にくわない」……っつーよりも、言う意志は酌みたいが(酌みたいって、エラソーだな、俺)、しかし、なんかどっか的外れなところにボール行っちゃってるんじゃねえのって。ビールかけやり玉にあげるのは、どうもちょっと違うし、みたいな。でもしかし、こんなことを言う俺は、同時に「じゃあそんなこと言うお前は何してるの?」って刃を向けられるわけで、そこんところが難しいよな。でも、俺、少なくとも飯残さないし、最低限のものしか買ってない……つもりなんだけど、しかし、たとえばそれも……と、いろいろと、ま、難しいわ。おしまい。