なんつーか、なんだかどうなの、こういう餃子の王将とかいうの。人がなんかちょっと安くてうまい餃子食うためには、どっかでこんなこと行われてなきゃいけねえの? よくわかんね。
あー、そりゃね、こういうふうに、人格形成セミナーまんまのやりかたで、脳洗浄した店長みてえのは、「忠誠!」の精神で廃人になるまで働くだろうし、その分なんか違法労働やらせて人権費削減とかあってさ、「その結果おまえらが安い餃子食えてるんだろうが!」みてえな言い分もあるのかもしれないけど、正直俺は、そこまでして餃子が安くなくていいけど、世間の皆様におかれましてはいかがでしょうか。
つーか、こんなんでうまい餃子につながんのかもわかんねーし。中華街とか行ってみたら、お前、おおよその中国人店員なんて、王将レベルどころか、一般的な接客レベルに達してないみてえなところあるよ。でもさ、中華料理食うのに、あんまり気にしねえでしょ。そりゃ、なんか、熱々のラーメンの丼をだよ、「ホイッ」とか言って投げられたら、さすがの達人もドキッとするし、隙ができる。思わず「救命阿!」とか言う。いや、それはどうでもいいんだけど、俺はなんかもう、そこらのコンビニとか、ファストフードとかでも、店の人に、「そんなに気を使わなくていいから」って思う。別にこの話題見たから言うんじゃなくて、前から思ってる。だいたいなんか、日記とかブックマークとか読み返したら出てくるだろ、たぶん。なんかもう、べつにぶっきらぼうでもいいよ、みてえなさ。そう、たとえばマニュアル通りだとしても、感情とか笑顔とかは求めてねえからさ。そんで、なんかちょっとおかしければ笑いあえばいいし、ありがたいと思ったらちょっとなんか伝えればいいんだ。
つーかさ、人間同士でいいじゃねえの。お客様は神様ですじゃねえし。なんかこう、そりゃなんかその、すごい高い一億万円とかのレストラン行ったらよ、なんかもう御輿とかに乗せられて、美女とかが孔雀の羽のデカイのみたいので扇いでくれたりして、パエリアの貝とかより分けてくれたりとか、そんなすごいことがあってもいいかもしれねえよ。でもな、居酒屋でひざまずかれて、「よろこんで!」とか言われても、こっちは別によろこばねえって、俺は少なくともそうなんだけど、どうなんよ?
つーか、安いもののためになんか奴隷になんなきゃいけねえって、やっぱりそうなると、こっちが望まざると誰かが俺の奴隷になってたとしてさ、結局俺はどっかの大貴族でもないから働かなきゃいけねえし、お客もいるだろうし、上司とかもいるんだけど、そんときこっちに奴隷の役回りが来ちゃうわけじゃん。俺はごめん被りたいって、そう思うし。
でもさ、ここで、「お前もどう考えても労働基準法みてえなのに合致してない環境で働いてるじゃん。それって社畜文化に無意識に加担してあることであって、ますます労働者の地位と権威を失墜させ、ブルジョアの豚どもを肥やさせることに他ならない! 断じてやつらの分断工作に乗ってはならない! 今こそプロレタリアートが団結し、真の革命戦士としての自覚を育み、来るべき武力闘争を勝ち抜いていかねばならんのだ! この危急存亡の時局において、自らの革命精神と行いとの乖離について、自己批判しろ!」みたいに言われるわけじゃん。
したら俺は「自分は! 自分の生まれ育った、プチ・ブル生活への未練を、無自覚のままに保有しつづけた日和見主義者であり、内なる反革命に屈服し、真の共産主義化への道を閉ざした、敗北主義者であったことを、ここに自己批判します!」とか言うし。
けどきっと、「貴様はまったく革命を理解していない! いいか、これは暴力ではない。真の革命戦士になるための、総括援助である! お前ならきっとこの共産主義化を貫徹することができる!」
ボカッ。
アタシは死んだ。
笑い。
……話が逸れた! が、ともかく、まあ俺もどれだけ人間なのかはわからん。とはいえ、俺は今のところ誰かの奴隷というほどには奴隷でもないような気がしているし、奴隷のように扱われてもいない。……つもりである。俺はこのあたりを、「ホワイトなブラック」、「ホワイトなブラック企業」などと呼びたい、果たしてどうだろうか。
それでもって、俺の個人的性質とか資質とか能力の問題は、ブラックのブラックではないどころか、おそらく人にとってはうらやむべきヌルさと自由さ、あるいは、そう、やる気さえあればけっこう可能性のある立場にありながら、まったくもってそれでも働きたくない、家から出たくないと思えるところであって、ただそれでも、俺も欠陥品だけど、死にたくはないし、人間みたいなふりさせろ、とか思わないでもなく、話がこうなってくると、いろいろ混線してきて収拾がつかない。
いや、まあともかく、奴隷はな、たとえばポンペイ展の宣伝で、人間の真の自由だとか精神の自由だとかなんだかわかんねえけど、そんなこと言ってたけど、そんなん奴隷がいたからじゃんって思うし、まあ俺が死ぬまで貴族だとか資産家だったら、別に奴隷を顎でこきつかって、働かないで生きていきたいんだけど(あ、くそ本音もらいした、わらい)、まあそうもいかねえんなら、せめて人間らしくさ、よろこぶのは本当によろこんだときだけでいいし、そんなんで、いい加減に暮らしていきたいんだけど、これも高望みかね。俺はもうつかれたし、それは本音だし。
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