La Tulipe Noire


 『黒いチューリップ』と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。かの大デュマの歴史小説、それともアラン・ドロンの冒険活劇? 私は……、とくになにも思い浮かばない。

 せいぜい馬の名前になっているんじゃないか、と調べるくらい。すると、いるじゃないですか、「La Tulipe Noire」号。父アレッジド、母の父ファビュラスダンサー、母の名がBlack Tulipなのだから手抜きの馬名だ。

 さてこのブラックチューリップ、日本競馬と無縁ではなかった。娘が輸入され、キャサリンウッドという名で走っていた。デビュー戦でズーンに勝ち、二戦目では阪神三歳でメジロドーベルと当たっている。父はウッドマン、かなりの良血。しかし、繁殖記録がなく、気づいてみれば最後の競走は中止。

 二つ目で、最後となった勝利。このメンバーはなかなかのもので、3着は言わずと知れたミッドナイトベット。9着テイエムトッキューも後の重賞勝ち馬で、11着フィールドアスカ種牡馬入りした。フィールドアスカからは日曜の最終レースで逃げ切りが(俺によって)期待されながらも、アクレイムに先頭を奪われて冴えなかったモエレフィールドが出ている。他にサウスティーダなどハナを主張する馬がおり、ハイペース必至。そんな中で、重馬場もこなすオペラハウス産駒、ドリーミーオペラが買える材料が皆無というわけではない。しかし、後に重賞を狙っているなどというヒカルオオゾラなどもいて、とてもじゃないが手が回らない。ちなみにドリーミーオペラの母はキオイドリーム、血統のすぐ先にはワカクモの名が見える良血牝系。

 話が遠くになりすぎた。しかし、さらに黒いチューリップの血を辿ってみて、出てくるのは遠い親戚であるオメガウインクくらい。が、だからなんだというのだ、だからって、なんだって。