『けいおん!!』第7話が語る不死性について


 けいおん!のない世界を想像してみるがいい。だれも想像などできはしないはずである。なぜならば、けいおんのない世界はまったくの闇だって、一筋の光もささない。私たちの思念のひとかけらもそこにはなく、なんの意味も意志も形をなさぬ。そのような世界を私たちは想像できぬ。それを死の世界という。
 そして、死はかならず誰にでも訪れる。けいおんは終わり、私は死に、あなたも死ぬだろう。
 しかし、けいおんは私たちにメッセージを送る。けいおんの終わりは世界の終わりではありません、あなたがたの想像するけいおんの終わりは間違いです、と。
 そのために、あえて死者、私たちの考える死者、死者であるべき人間を登場させたのである。言うまでもない、死者は曽我部先輩である。
 死んだ魂は北極星を目指し北上する。今回の舞台は、その途中の北海道である(ちなみに私は、けいおんの舞台は京都よりもっと南、南方浄土の補陀落の方にあると踏んでいる)。そこで彼女は生の世界、けいおんの世界からのメッセージを受け取る。まさしく、闇にさす光であり、無音世界に響く迦陵頻伽の鳴き声である。彼女はそこで死者ではなく、生の世界に舞い戻る。ここに込められたメッセージは明白である。
 死は空しいものではない。
 けいおんはつねにあなたとともにありつづける。
 けいおんは不滅である。
 ゆえにあなたも不滅である。
 そうだ、もしもあなたがけいおんから立ち去ってもけいおんは永遠であり、またあなたも永遠である。
 あるいは、けいおんがあなたから立ち去ってもけいおんは永遠であり、またあなたも永遠である。
 そう、考えてみるがいい。あなたが父母から受け継いだのはその身体と澪ファンクラブ会員証のみである(ここで「私は唯派ですが」などと言い出すのは明らかな誤謬であり、分別の世界に囚われている)。
 生とともに不滅をいだいているものに、生も死もなんら意味はなさない。それそのものが永遠なのである。不死とも不滅ともいう必要はない。不生のけいおんである。
 さあこれで案ずるものなどなにもない。あなたも無憂の人である。しかし、無憂であると同時に憂もまた永遠にあなたとともにある。ただ唯一のありようをもってあらゆる混沌は自由な秩序となって紬がれ、あなたの精神も自由なままに律する。ただこれだけのことなのである。

ときめきシュガー
大切なあなたに カラメルソース
ラニュー糖に ブラウンシュガー
メープル ハチミツ 和三盆
あなたのために カラメルソース
私のハートも カラメルソース
ちょっぴり焦げついちゃっても
あなたの 火加減で おいしくなるの!