アニメ『ユリ熊嵐』を見終える

 おれは高卒らしく比喩というか暗喩というかメタファーというか、そういうものがわからない人間だ。「納屋を焼いたというのは過去の女を殺していったという意味なんだよ」とか言われても「はぁ、そうだったの」としか思えない人間だ。納屋を焼くと言われたら、納屋を焼いているんだろうなぁと思うばかりなのである。
 そういう意味で、おれがいくらキャラクター原案の森島明子の大ファンであっても、吉村昭の『羆嵐』が好きでも、「『ユリ熊嵐』どうだった?」と問われれば、「百合なのがよかったし、ガウガウいってるのがかわいくてよかった。ラストシーンもよかった」くらいしか出てこないのである。いや、たぶん、この監督にしてはわかりやすい感じのあれなんだろうというのはわかるが、だからといって、「透明の嵐というのは……」、「断絶の壁」というのは……などと解釈の二階を建てることはできんのである。悲しいことに、そうなのである。解釈というやつが苦手なのだ。
 あるいは、おれはこの作品の愛の弾丸に撃ちぬかれていないということなのだろうか。それはそれで悲しいところはある。おれがアニメを見るのは悲しい、おれが小説を読むのは悲しい、おれが漫画を読むのは悲しい。でも、おれにだって好きなものがあるはずだ。おれは好きをあきらめないのだ。そうであってほしいという、惨めな中年のあがきである。それに比べると、少女たちはたいそう美しいし、儚く、それでも強いものだ。そういうものなのだ。
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ユリ熊嵐 (1) (バーズコミックス)

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羆嵐(新潮文庫)

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シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)

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……あれ、もちろん漫画版も買ってるんだけど、感想が見当たらない。書いたような気がするんだけど……。うーん。