- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03/31
- メディア: 単行本
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とくに理由もなく何度かペニスが勃起し、そしておさまった。芝を刈りながら勃起するなんてなんだか馬鹿げている。
「午後の最後の芝生」
よく日本語ラップは「親に感謝」しすぎと揶揄されている。ところが、おれが日本語ラップを聴き始めてみると、そんなに親に感謝なんかしていないのである。それと同じように、おれにはそんなに村上春樹が、「やれやれ、僕はスパゲティを茹でて、セックスした」ようなことばかり書いている印象はなかった。
が、初期からの短編集である本書を読んでみて「やれやればかり言ってるし、スパゲティを茹でたり食べたり食べ残したりして、あとはセックスのことばかりじゃないの」と思った。揶揄される村上春樹の側面の多くがそこにはあったのだ。なるほど、これを読んでなにかうんざりした気持ちになる人がいても不思議じゃない。というか、おれもいかにもな村上春樹節に半分くらいのれなかった。おれは頭のなかでスケベが爆発しているような人間ではあるけれど、実際にいろんな女の子と性交するためになにをするでもなく、またできるわけでもないような人間だからだ。
とはいえ、半分はいいのである。ブローティガンとカーヴァーを足してニで割ったような世界がある。短編のタイトルもすこぶるいい。
「ねじまき鳥と火曜日の女たち」
「パン屋再襲撃」
「カンガルー通信」
「四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」
「眠り」
「ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界」
「レーダーホーゼン」
「納屋を焼く」
「緑色の獣」
「ファミリー・アフェア」
「窓」
「TVピープル」
「中国行きのスロウ・ボート」
「踊る小人」
「午後の最後の芝生」
「沈黙」
「象の消滅」
……さて、どれがお気に入り? 「午後の最後の芝生」はなんかいいところがある。村上春樹の労働観といったら変だけれども、仕事人というか、職業人というか、そういうところがストレートに出ている。どこかきちんとした人なんだろうな、という感じがする。もちろん作品とその登場人物が書き手そのものと重なりあうものではないにせよ。「緑色の獣」は「なんじゃこりゃ」という感じで気軽に楽しめるが、獣がどこから出てきたのかというあたりは村上作品に共通するなにかかもしれない。「レーダーホーゼン」はなんでもないようなところで、人間の心理のとても大きな変化が描かれているようで好きだ。「ファミリー・アフェア」はいわゆる村上春樹っぽさが鼻につくところもあるかもしれないが、妹の婚約者「渡辺昇」の描かれ方とか造形がいい。同じく「沈黙」の「大沢さん」にしてもだ。
そんなところか。おれは「眠り」の主人公と同じく夢中になって読んだ小説もしばらくすると中身がすべて抜け落ちてしまうタイプの人間なので、これらの短編も抜け落ちるだろうか。でも、読んだことのある「納屋を焼く」なんかはわりと覚えていたかな。
で、べつに村上主義者でもないおれが言うのもなんだけれど、村上春樹を読むのにまず短編から入ってみたら? ……という気にはなれない。よくわからないが、とにかく『世界の終りとハード・ボイルド・ワンダーランド』読んだら、と言いたい。もちろん、おれはその内容を覚えていない。
>゜))彡>゜))彡>゜))彡
- 作者: NHK出版,村上春樹
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上)新装版 (新潮文庫)
- 作者: 村上春樹
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)
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