新井監督の胴上げは見られないかもしれない

こないだ、日本シリーズが終わった。勝ったのは横浜ベイスターズだった。関内の人間として、パブリックビューイングで盛り上がるハマスタを見られるのは悪くないものだった。が、うれしいはずがない。おれはカープファンだからだ。

 

そのカープのストーブリーブ。これがどうもファンに不評だ。そしておれも不評だ。新井監督は「痛みを伴う」とかなんとか言った。言ったわりには血の入れ替えがない。戦力外の選手が少ないのではないのか。いや、あえて名前を出させてもらえば、田中、松山、上本、このあたりの引退がなかった。枠はぎりぎりだ。これから他球団の戦力外選手やFAで選手を取れるだろうか。おまけに長年の失敗を続けている打撃コーチの入れ替えなんて話も聞こえてこない。コーチについては発表が遅めなので、まだわからないが、これではどん詰まりだ。

 

で、「痛み」とはなにか。どうも育成に注力して負けることが「痛み」のようだ。

 

カープ新井監督が9月の歴史的急失速に決断…来季は「育てながら勝つ」から「痛みを伴っても育成重視」へ - プロ野球 - Number Web - ナンバー

 

これは、どうなのか。新井監督、初年度はベテランと若手を融合させて頑張った。今年も八月まで首位だったことは忘れてはいけない。そのあとがひどすぎた。去年とは違って余力のあるはずの選手がボロボロのガタガタ。歴史的な大失速。

 

このチーム力では、いくら頑張っても限界がある。だから、変わらなければいけない。どう変わるのか。「若手を育成する」。間違っちゃいないが、それだけでいいのか。だいたい、育成する能力がチームにあるのか。ずっと育成できなかったではないか。いつになったら朝山東洋は辞めるのか。あえて名前を書かせてもらう。

 

ほかのチームの動きは活発だ。優勝チームも次々に補強の話が出ているし、コーチの配置換えの話なども聞こえてくる。強いものがさらに強くなろうとしている。それなのに、カープは……。

 

「来シーズンはさまざまなことが変化する年になると思います。来シーズンだけでなしに、変わっていかなければいけない、そう考えています。変わるということはそれとともに痛みも生じてくると思います。今年よりも来シーズンはさらに厳しい道のりになると思います。覚悟と信念を持って、強いチーム、強い選手を育てていきたいと思います」

 強くなるためにはチームが大きく変わらないといけない。ただ、人事権のない現場指揮官に大胆な“血の入れ替え”はできない。

「人事権のない現場指揮官」。これが辛い。今年のシーズン補強を断ったエピソードなど思い浮かぶが、あれももう「言わされていた」に近いものがあるのではないかと邪推したくもなる。

 

これには賛否両論あるだろうが、去年、今年と、新井さんは監督としてようやっとると、おれは思う。与えられた手札の力以上の結果を出している。でも、優勝はできない。さすがに、このメンバーでは無理だ。代打松山に期待はできない。ましてや田中では。それで彼らがベテランとしてチームを引っ張る、空気を変えられるタイプかといえば、そうでもない。そもそも女遊びにうつつを抜かしているやつの言うことを聞く気になるだろうか。

 

おれは新井さんの監督としての能力を買っているが、このままでは胴上げを見られないで終わるのではないかという気がしてならない。無論、ネガティブに考えてのことだ。ポジティブに考えれば、今の若手たちが、あるいはルーキーが、みんなわれわれの考える上限くらいまで数字を出してくれれば話は別だ。だが、その可能性は低い。一人か、二人出てくれば上々じゃないのか。その一人が鈴木誠也クラスであればいいが、そんなに甘い話はあるだろうか。

 

どうにもカープのことについて考えると寒くなってくる秋である。ここから今年中に一発なにかいいニュースを聞きたいものだ。

 

最新号 週刊ベースボール 2024年9月16日 パリ 広島カープ 特集