長すぎる三連休のこと

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楽しい時間は早く過ぎるというけれど、苦しい時間は長いのか。答え:長い。

おれの抑うつ状態、ひどい倦怠感、心身症の症状はいつから出たのか。日記によると9月11日かららしい。今日で一週間になる。その一週間のなかに三連休があった。これが、ひどく長かった。

金曜だったか、このごろいそがしい女(マンションの理事などが回ってきているので)から、「日曜日ヒマだから遊びに行かないか」などと誘われたが、「このごろ調子がひどく悪い。土曜日の調子を見て連絡する」と答えた。

土曜日は最悪だとべつにだれも言ったわけではないけれど、昼過ぎまで寝ていたような気もする。違うかもしれない。競馬はやった。だが、身体が重い。動ける時間もある。だが、この調子では出かけるどころではないので、女にキャンセルのメールを打つ。……が、このメールを打つのにひどく時間を要した。まず、「行けるかもしれない、やっぱり駄目だ」というぼんやりした迷いを経て、次にくるのはメールを打つという単純な行為に対するひどい面倒臭さだった。決断力の喪失、典型的な症状かと思う。

しかし、夕方、歩いてコンビニまで東スポを買いに行った。「すぐそこ」というのは少し距離のあるコンビニ(あくまで横浜市中区という大都会での基準だが)まで、歩いて行った。あまりに歩みが遅いので自分でも笑えてくるくらいだった。坂も階段も辛い。立ち止まることもある。

敬老の日を前にして、お年寄りの気持ちがわかった。……と断言できるわけではないけれど、その一部は感じられたように思う。すばやく動けない、なんでもないことに疲れる、決断力がにぶる。それにしても、炭酸水(このところ単なる炭酸水が普及してきたようでうれしい)がこんなに重いのか。この坂は、こんなに急だったのか。いったい、どれだけの時間をかけてコンビニに行き帰りするのか。君も抑うつ状態による心身症を発症しよう。お年寄り体験シミュレーター(なんか重りとかつけるやつ)は必要ない。

日曜日は昼すぎまで寝ただろうか。違う気もする。少し調子がよい。返却期限のきている本があったので、中央図書館まで行くことにする。もたもたと準備をする。ドアを開ける瞬間まで、どうやって行くのか(徒歩? 自転車? バス? 電車?)決められなかった。なんとなく身体が動くようなので、自転車にした。自転車を漕ぎはじめると、ひどいときのモタモタ感もなく、いつもどおりという感じだった。実際、坂道もぐんぐん上り、交通の判断になんの問題もなかった。図書館に着いた。すると、ひどく汗をかいているのに気づいた。これは体調によるものか、ただ暑いのか判断がつかなかった。図書館近くのローソンに東スポを買いにいくとき、カレーのKikuyaに行列ができているのを見た。何年も行ってない。小さな店内で、料理が出てくるにも時間がかかったような覚えがある。長く待つことになるだろう。味はどうだったかというと、覚えていないのだけれど、おれのなかで「おいしい店」に分類されている。行列というと、女からメールがあって、横浜美術館の「モネ展」に行ってみたら大行列ができていて、諦めて帰ったという話だった。

アパートに帰ると、まるで100kmサイクリングしてきたような疲労感があった。身体が重く、がんばって重力に抗しているというのに、日に日に筋力がなくなっているような気がした。競馬をした。借りてきた『シオラン対談集』が面白すぎて、読み進めるのが惜しくなった。そのあとはよく覚えていない。アニメの録画していたのなど観たように思う。『あそびあそばせ』は傑作だ。円盤を買う金はないけれど、OP曲、ED曲くらいは買おうか。あと、原作。

月曜日は昼過ぎまで寝ていたように思う。違うかもしれない。そうだ、違う。この日は休みだとわかっている上で、iPhoneのアラームを切らずにおいた。朝、起きて身体が動くかどうか確かめるためだ。平日の朝の時間に鳴るアラーム。身体は……動く。動くのを確かめて、おれは二度寝した。そして昼過ぎまで寝ていたように思う。さわやかな寝覚めだった。競馬をやった。三日開催、おれにしては十分なプラスに終わった。惜しいと思える馬券もいくつかあり、狙いは悪くない。ただ、これといった方針もなく買って的中率が高かっただけであり、馬場の傾向が見えていた、などということはなかった。それにしても、土曜のテレ東の軽い調子の競馬番組に大久保洋吉がフィットしているのが面白い。取材を受ける調教師たちの大久保先生いじりも悪くない。おれはけっこう、土曜競馬中継が好きである。

夜はテレビ東京の大食い女王決定戦2018を見た。おれが良識的で聡明な人物を装うのであれば、大食い番組など即座に眉をひそめて非難するのが最適解であろう。だが、おれは装うなにかすら存在しない愚者であって、大食い番組が大好きであると明言する。いや、いままでもしてきた。おれの「腹いっぱい限界までうまいものが食いたい」という欲望を、だれかがかわりに満たしてくれる。悪くない。それに、おれはテレビで人がなにかを食うさまを見ること自体、それほど嫌いじゃないのだ。しかしなんだろう、今回の新要素かなにかしらないが、レタス畑でレタスを食うという大食いはなかなかに斬新だった。ただの大食いではなく、生の採れたてレタスをどのように食べるか、という戦術が必要なのである。塩やドレッシングをかけて生でかぶりつくか、用意されている鍋でしゃぶしゃぶにするか。ただ単にひたすら腹に詰め込む、というばかりではおもしろくない、という面ではいい試みかもしれない。しかし、見ていてあまりうらやましくない、という点ではおれの欲求を満たしてはくれなかった(採れたてレタスはおいしいのだろうが)。「お腹は空いているのに食べられない」と泣いている女性がいたのが印象的だった。最後はひたすら米を食う決勝だった。47都道府県の名物「ご飯のお供」とともに次々に米を食うのだ。しかし、神奈川県の「ご飯のお供」がシュウマイであったのはいかがなものか。結局、北海道のアンジェラ佐藤が優勝した。

夜は無理に早寝をせず、だらだらテレビ(NHK週刊少年ジャンプ編集部のドキュメンタリなど)を見てから寝た。三日間、というか、処方されてからすべてセロクエルを飲んでいる。「セロクエルと相性が悪いのでは?」という思いもあるが「セロクエルが効いてくる過渡期にあるのに、それを捨ててしまう可能性はないのか?」の後者をとった。でも、この調子が続くようであればジプレキサに戻してもらう。調子が悪かったので薬を変えてもらったが、ここまで調子が悪くなっていたわけではなかった。

今日、火曜日の朝、いったん6時頃に目が覚めた。身体は動くようだった。二度寝、三度寝、四度寝して、最後の締切時間に起床した。シャワーを浴びて自転車で出社した。身体は「すごく重い」のと「全く問題ない」のの中間くらいだった。そして、三日間ほとんど喋っていないので、ろれつが回らず、声が出なかった。しかし、指は動き、文章は書けるので、こうして記録を残している。それだけである。