おれが観たのは山崎まさよしルートじゃなかったよ―『君の名は。』

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観ようか、円盤まで待とうか迷った挙句、観に行った。なにってそりゃあ『君の名は。』である。考えてみたらおれは新海誠作品はすべて観てきたし(劇場で、ではないけれど)、その執拗なまでの背景の美しさに驚嘆してきた人間だ。ファン、ではないといえる。映画以前の仕事は知らないし、初期の作品の人物というのは、悪いがちょっと「下手じゃない?」とか言ってしまえるくらいの話である。

場所は川崎TOHOシネマズ(すばらしいストライクウィッチーズOVA以来)、シアターは定員546人で、客の入りは完全な完売。まだまだ人気衰えず、か。

そして……もう、ネタバレしてもいいよね。ということで、以下あんまり気にしないで書くので「いやだ、見たくない」という人は、お好み焼きの有用性を説いた記事をページの右あたりをクリックして読んでください。

プラン

ナイン

フロム

アウター

スペース

(スペース言いたかっただけ)

で、内容はというと……ストレートなネタバレを避けてきたおれでもあるていどは知っていて、知っていたところから外れるところはなかった、という感じ。あ、ただおれは起こる厄災が東日本大震災そのものだとどっかで勘違いしていたというのはある。まあ、もしもそうだとしたら、もっとなんというか、評価が荒れていたかもしれない。うまく描ききれていたら、もっとすごかったかもしれない。それはなんとも言えない。もっとも、東日本大震災がモチーフであるかどうかも知らないが。

そして、ツッコミが入っていた部分。彗星の軌道……はたぶん知らなかったら気づきもしなかったからどうでもよい。もう一つのほう。あんだけ携帯端末使っておいて、「今が何年であるか」がわからないというのは不自然だ、というもの。これについてはたぶんおれでも気づいたろうな。たしかにiPhoneのカレンダーとかロック画面見ても「年」は出てこない。……けどなあ、と。同じ日時で違う人に、という認識だったのだっけ、どうだっけ。ようわからんが、そうだとしたら「曜日」でも違和感があるだろう。とくに学生さんは(同じ曜日が繰り返すには最低6年のスパンが必要らしい)。それと、彗星落下で村が消滅みたいなニュース、もうちょい覚えてないかい、と。

あと、入れ替わったら、まず自分のリアルボディがどうなっているのか気にならないか? 自宅に電話してみるとか。いや、夢と思ってる最初の最初から、というのは無理があるにせよ、「どうも入れ替わってるらしいぞ」となったら、それを試しはしないだろうか、とか。とかいうと、赤の他人になってるのに律儀に学校に行ったりするあたり、どうも不自然だ。いや、そういうものだろうか。他人と入れ替わったことないから、よくわからない。ただ、自分が女体になったら、精神があるていど落ち着いたら、「今日は体調が悪いから学校は休む」といって、ひとり布団の中で(中略)したりして過ごすだろう。そういう意味で、最後まで胸に固執した部分に関してはリアルといえよう。そして、この繰り返しネタがこの作品ほぼ唯一の笑いどころであって悪くなかった。

リアルさ、というと、土建屋の息子の彼は結構な重罪だと思うのだが、まあドサクサに紛れてうやむやになったか、政治家が圧力でもみ消したかなんかしたのだろう。もしもラスト付近に出番がなかったら、どっか少年刑務所に行ったんだろうな、と思うしかないだろう。

いずれにせよ、プロジェクトは成功した。なんかこの感じ、ゲーム『シュタインズ・ゲート』や『バルドスカイ』あたり(『バルドハート』の感想書いたっけ?)で、オールオッケーなルートでトゥルーエンディングを見たな、という気分になった。なんか、どっかで選択肢を間違っていたら、エンディングは山崎まさよしの「One more time,One more chance」が流れてくるノーマル、もしくはバッドエンド。言うまでもなく『秒速5センチメートル』だが。ああけど、そのエンドも見てみたい。いるはずもないところを主人公がふと見てしまうような。歌詞も、なんとなくストーリーにも合ってるぜ。よし、円盤にはそのルートも収録する、という方向で。いや、そんな方向いらんか。いらんよね。でも、今までの新海誠作品だったらその可能性はあったように思う。どうだろうか? あ、あと、本作もやはり背景は美しいけれど、「狂気の沙汰だ」というくらいには思えなかった。そのぶん人がよく動いていた。比率を調整したのだろうか。以上。

 

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