働けど働けど……

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働けど働けど……。

といっても、おれは過労死するほど長時間労働をしているわけじゃない。なにも予定のない土曜日に出社したりするくらいのことである。晩飯だってだいたい9時より前に自炊できている。

とはいえ、おれはおれなりに働いているような気はする。

しかし、金がない。

使いすぎているのでは? ということはない。入ってこない、のである。要するに給料が出ない、のだ。

ブラック企業なのでは? と言われれば返す言葉もない。しかし、本来ひきこもりであるおれは新しい環境というものが非常に、非常に苦手なので、出てゆくつもりもない。

というか、今さら今までの経験を活かした楽しい職場など望めようか。Adobeのいくつかのアプリケーションを使えます。Illustratorが主です。Photoshopでなにかをでっち上げるのは得意です。いくらかのコピーライティングができます。軽くhtmlのコーディングができます……いずれも気の利いた小学6年生にでもできそうなことだ。高卒で35歳を超えてしまったおれが行きつく場所など限られているだろう。少なくとも、一日の大半を、いや、一年の大半をiMacの前で過ごせる職場など与えられないだろう。おれは一年の大半をiMacの前で過ごしたいのだ。べつにWindow機でもいいけれど。

そんなおれは、この会社が駄目になったら、それを転機にしようと思って生きてきた。転機というのは転職かもしれないし、自死かもしれない。なんでもいいが、人生が変わることである。それはすぐにでも来ると思っていた。長ければ来年、短ければ来月、ひょっとしたら明日。それがどうだろう、そう思い続けて10年、15年である。

下手に優秀なのである、この会社は。この会社を構成する人間は。おれがその一人になっているかどうかは知らない。知らないが、死なないのである。死なない以上、おれの転機は訪れない。ただ、不安ばかりが積もり積もって病院送りになっただけのことである。生かさず殺さずゾンビ企業、おそろしい、おそろしい。

とはいえ、先が見えていないわけでもない。なにせ、新しく入ってくる人間がいない。同じメンバーが年をとるばかりなのである。おれは一番の年下である。上の者がリタイアしたらそれで終わりである。もうすぐ、長く見積もっても何年か先のことである。何年か先には、おれは一層つぶしが効かなくなっていることだろう。まったく、どうしたらいいんだ。おれにはさっぱりわからない。

わからないし、決めたくもない。おれは流れに流されて生きてきたし、これからもたぶんそうだろう。地面を這って、汚水に流されて、最低限の餌を喰らい、惨めに縮んでいくばかり。あるいは早くに転機が訪れていれば、とも思うが、やはりなにか頑張ってしまう、もうやめたほうがいいのに、現状にしがみついてしまう何かがある。結局は不利益になる、不幸になるのがわかっていて、結局より目先のことばかりに集中してしまう。見たくないものから目を背けるという、ネガティヴな集中をしてしまう。そりゃあ、大脳も破壊されてしまう。

というわけで、年末、年度末を迎える。少しは忙しくなる。あるいは、けっこう忙しくなる。人手は足りない。人を雇う余裕はない。なにせ、おれがほとんど金をもらえていないのだ。それなのに働く、なんの意味があるのか。もう遅すぎる。おれにできるのは、酒を飲んですべてから目を背けることだけである。