『クラウド アトラス』を観る

 おれはこの項目を書き始めて「『」を打ったところで手が止まってしまった。「あの、1600万クラスなら上位だけど、オープンに上がったら頭打ちになったみたいな馬の名前みたいなタイトルは?」と(具体的に馬のモデルはいません)。
 というわけで、よく知らなかった『クラウドアトラス』(半角あけるの面倒だからやめるね)である。あの『マトリックス』の監督の兄弟が姉妹になった、という記事のはてなブックマークコメント欄が、なぜか『クラウドアトラス』いいぞ、になっていて、「あ、おれの好きなペ・ドゥナも出てる」となって手を出してみたのである。それ以外の情報はまったく知らないといっていい。というか、SFというジャンルにはどんでん返しやらなんやらもあるから、事前情報は積極的にカットするのがおれの流儀。
 ……というのがよかったのかどうか。この映画、わりと複雑な作りになっている。6つの時代が描かれ、それぞれに同じ役者がいろんな(本当に七変化みたいな「いろんな」)役で出てくる。それは先に知っておいてよかったと思う。まあ、ただでさえ人の顔を覚えるのが苦手なおれには知っていたところでどうにかなるようなもんじゃないけれど。
 まあ、それでもって、星の痣がある……ジョースターの体はよく馴染む!……というほどではないにせよ、物語は数奇なつながりを見せ、最後はわいせつ石膏の星にたどり着くのである(たどり着かない)。なんというか、もうすごい大作である。出ている役者もペ・ドゥナ以外にも大物ばかりである(そして相変わらずペ・ドゥナは脱ぎっぷりがいい)。そしてペ・ドゥナはいい。今回は複製人、まあクローンの奴隷みたいなのがメーンなのだが、その感じもいい。北の卓球選手から、空気人形までわりと極端な役がハマる人だな、と思う。そこがいい。
 と、『クラウドアトラス』か。再度言うが大作……、いろんな時代それぞれにいろいろと(衣装やセットやなんやかんや)が必要なのだろうし、それぞれに金かかってそうだなーと思わずにはいられなかった。しかし、その割には公開当時にこの作品のことを耳にしたことがあったろうか。なかったから、つい最近知ったのだ。やっぱり純(といっていいのかどうかわからんが)SFはあまりウケないのか。よくわからない。
 して、おれの感想だが……「面白かったけど、なげーよ」というあたりだろうか。もうちょっと心を込めた感想があってもいい感じなのだが、やっぱり長いな。うん、長いけど、それぞれの時代を行き来して、飽きさせない作りにはなっている。なっているけど、やっぱりやや冗長という感じはある。評価はというと、5段階評価で3くらいという。4や5はないけど、2や1ってことはないぜってあたりだ。まあ、そんなところで。