本当は、何人殺した?
「7人だ。俺が殺したのは全部で7人。」キム・ヒョンミン刑事(キム・ユンソク)は、恋人を殺害し逮捕されたカン・テオ(チュ・ジフン)から突然の告白を受ける。
しかし、テオの証言のほかに一切証拠はない。
そもそも彼は、何故自らそのような告白を始めたのか?
警察内部でもテオの自白をまともに相手をする者がいない中、ヒョンミンは直感的にテオの言葉が真実であると確信。
上層部の反対を押し切り捜査を進めてゆく。
韓国で人気だったらしい、韓国ノワール。ノワールかな。まあいいや。
ネタバレ含んでたらごめんなさい。
ともかく主演の二人がよかった。AIに「実家はそれなりに裕福な家業をしているがそれは兄が譲り受け自分は自分に向いている刑事をやっている妻と死別した一匹狼のおっさん」とか学習させて、「ハイ、デキマシタ」といって出てきたみたいなキム・ヒョンミン刑事(キム・ユンソク)。いや、『パラサイト』の酒盛りシーンが合成というのだから、そのくらいのことはディープフェイク的にやっているかもしれない。いや、今はやってないけど、いずれは。
いや、話が逸れた。その刑事を翻弄するのが殺人犯のカン・テオ(チュ・ジフン)。これも独特の狂気があっていい。あと、中盤ぐらいでロングショットになったとき「うわ、でけえなこいつ」と思った。チュ・ジフンの身長は187cmらしい。ジャック・ハンマーを痩せさせたみたいな。
……と、さっきから役者の名前書いてるけど、おれ、ぜんぜん知らねえから。『チェイサー』は名作だと思うけど(たしか)、キム・ユンソクだったかどうかとか、覚えられない。おれは人の顔を覚えるのが非常に苦手だ。とはいえ、たとえば日本映画で……若い人知らないや(こないだひき逃げした人とか、結婚した松坂桃李の顔とか)、ええと、でも、刑事役が役所広司(『渇き』、『孤狼の血』やね)だったら「役所広司だな」と思ってしまう。ところが、顔も名前も覚えられない韓国俳優なのだから、もう素直にその役の人と見えてしまう。これは良し悪しかもしれないが、おれにはヨシ!なのである。チュ・ジフンが『黒金星』に出てたといわれても、まったくわからん。あ、でも、ペ・ドゥナは好きです、わかります。あと、マ・ドンソクも。
話がまた逸れた……か、どうか。まあともかく、暗数殺人だ。あきらかになっていない殺人がある。一つの殺人で逮捕されたあんちゃんが、刑事に「七人殺した」というわけだ。その狙いは……というと、刑事が先輩の元刑事(これも先輩の元刑事にしか見えない)に説明された通りということなのだろう。
でもなんだろうね、いきなり「三年前」とか出てきちゃうあたりは、少し冷める。頭の中で「こうだったのでは」とか、古い調書読みながらとかでなく、事実がいきなり伝えられてしまう。そこんところはマイナス。
まあ、ストーリー自体も「これはすごいどんでん返しだ!」とはならない。キーとなるアイテムもいまいちピンとこない。最後の方に、どどどっと背景が語られて、そこんとこちょっとまぶすとか、伏線はるとかしてもいいんじゃねえかとか思ったり。
それでも、やっぱり見て損はねえかな。そんだけ、主演二人の存在感が際立ってる。そんなところ。