おれががんになろうと、死んでしまおうと競馬はつづく。つづけばいいな。まあともかく秋華賞だ。今年の秋華賞、どう見ようか。目の前でその戴冠を見たオークス馬カムニャック。秋初戦のローズステークスも強かったし、かなり強いのではないかと思う。カムニャック一強なのでは? という気がしないでもない。ただ、京都の内回りコースはカムニャック向きではないという話もある。外枠が大きく不利なレースではないとはいえ、ピンク帽も歓迎ではないだろう。
カムニャックの単から流す、というのはやめておこうと思った。むしろ、カムニャック来てもいいから、穴気味に三着あたりに突っ込んでくる馬はいないのか? そういう方向で考えることにした。
そんなところで目についたんのがジョスランである。エフフォーリアの全妹で、ここまでの馬柱も悪くない。しかし、なによりおれの印象に残っているのは前走紫苑ステークスである。ジョスランは入れ込んでいるように見えた。おれはパドックで馬を見てどうこうというタイプではないが、それにしてもひどく見えた。「人気しているし、これは切るか!」と思って切った。道中もなんかガクガクしているみたいで、「これは切って正解だった!」と思った。が、結果はスローペース逃げしたケリフレッドアスクの二着に突っ込んできた。クビ差だ。「ああ、おれは馬を見る目がない!」と思ったものだった。
が、それを思い返すとどうだろう。ジョスランはあんなにひどい状況だったのに二着に突っ込んできたのだ。すごい能力があるんじゃないのか。なにせエフフォーリアの全妹だ。
ということは、エピファネイア産駒ということになる。秋華賞は欧州型の瞬発力が問われがちなレースになるという。もとより京都内回りはエピファネイアがいいらしい。エピファネイアにハーツクライ。血統も悪くないんじゃないのか。そして、人気もあまりない。鞍上は岩田望来でこれもおれのなかでは文句はない。よし、三着以内に入ってくれと願う本命はジョスランだ。
そうなると、馬券の買い方は比較的簡単だった。三連複軸一頭流し、馬連、ワイド、まあちょっと単勝。頼んだぞジョスラン。
で、レース。逃げるのはケリフレッドアスクか、さもなければ鞍上を武豊にスイッチしてきたエリカエクスプレスではないかとされていた。結果、エリカエクスプレスが先頭を走る。カムニャックも前目で進める。して、その前にいたエンブロイダリーが一頭、二頭と交わしてエリカエクスプレスの直後につける。距離不安のある馬、行き過ぎではないのか? という気もする。しかし、ルメールには「武さんの後ろがベストポジションです」みたいな名言があったような気がする。武豊の逃げについていくのがベストなのか?
そんなことを考えていたら、コーナーでカムニャックの手応えが怪しくなる。怪しいどころか、押して押してもズルズル下がっていく。エリカエクスプレスは逃げ込みを図る。そこにエンブロイダリーがじわじわと迫って、追い抜く。三着にすごい足で突っ込んできたのはパラディレーヌ。割と穴人気はしていた。
ジョスランは道中内の後ろめを回って、直線真ん中あたりに持ち出して、それなりに伸びて四着。四着というのはわりと悪くないような気もするが、パラディレーヌとの脚の差は明確だったので、それほど悔しいという気にもならない。
ああ、しかし、カムニャックがどうなのかはちょっと今わからないが、まあゲートでの様子はおかしかったし、馬は繊細なものだ。エンブロイダリーは牝馬限定戦で二千もつことはわかった。エリカエクスプレスはなあ、父エピファネイアで母父ガリレオとかいう欧州血統で、血統だけ見て買う手はあったかもしれないが、思ったより人気していたし、なかなか手がでない。まあ、そんなところ。