あまりにも完璧だった。ルメールが? いや、おれがだ。印にすれば◎レイデオロ、○スワーヴリチャード、▲アドミラブル。これで単勝、馬連本線、三連複、三連単総取りだ。おれの競馬における目標は「帯封!」とかとは縁遠い「回収率100%」だから、金額的には目が飛び出るほどのことではないだろう。ただ、しょぼい賃金労働者としてはいいお小遣いができた。なにに使おう? 決まってる、来週の競馬だ。
今週のお題「私の沼」
……余計なお世話だ!
まあしかしなんだろうね、あのクリストフ・ルメールの騎乗やね。騎乗ばかりほめて、肝心の馬が後回しになってしまうのもどうかだが、やはりあの捲りはしびれたね。一瞬、制御不能になったのかと心配したものだが、実況が1000m63秒とかちょうど言ったもんだから、「いけるかも!」って思ったね。こんな乗り方、日本ダービーの2番人気馬でやってのけられそうな日本人騎手がどれだけいるのか、とか考えてしまったよ。……武豊、横山典弘、佐藤哲三、角田晃一……。まあいい、ともかく「ここぞの一発」ではM.デムーロだと思っていたが、ルメールもぶちかませるやつだった。そうじゃなきゃ仏オークス、ダービーぶっこ抜きなんてできない。日本で同じことをやってのけられない。なにかスペシャルなものを授かってる騎手だ。
で、気づいてみたらスワーヴリチャードがいつの間にか迫ってきていて、さらにはアドミラブル。アドミラブル3着厳しいかと思ったら、やっぱり絶対能力の強い馬だった。安いアパートで一人「ヨシ! ルメール! オラァ!」とか声が出ちまったよ。ともかく、いいダービーだった。ひさびさに競馬で「オラァ!」ってなった。そんなところ。
で、来年以降のためにも、ちょっと今回のダービーで気になったことをメモしておこう。
「エサをあげていたら、引っかかれたんですけどね(笑い)。でも、かわいい子ですよ。厩舎に現れた途端にソウルスターリングがオークスを勝ってくれた。まさに“招き猫”ですね」。
そう言って頬を緩めたのは、今週の日本ダービーにレイデオロを送り出す本間助手だった。この猫は22日朝にも厩舎に現れ、洗い場にいたレイデオロの周りを、楽しそうに駆け回った。
藤沢和雄厩舎付近にこのネコが来たら買い。よくわからないが、報知新聞の川上記者はネコ番として目を光らせておいてほしい。ちなみに、この記事を読んで「スワーヴリチャードからレイデオロに本命変えようかな?」と思ったのは本当。
派手なアクションはない。19頭目の挑戦で、初の日本ダービー制覇を果たした藤沢和調教師は、静かに笑みをたたえてレイデオロを迎え入れた。ルメールの肩を抱き、「オリビエ(ペリエ)の方がうまいと思ってたけど、やるじゃないか」と冗談を飛ばしたのはご愛嬌(あいきょう)。
おれはかつてやや藤沢師のやり方が好きではないというようなことを書いた。
一生に一度のダービーという舞台では、藤沢師の馬優先主義では爆発力が足りないのではないか、というような。しかし、今年は違った。いや、自らの筋を通し続けて、トライアルなしのぶっつけ皐月賞からダービー。結果を出した。
その藤沢師といえば。
というようなことをDAIGOがフジテレビの中継で言っていた。DAIGOさんの藤沢和調教師の笑い皺番としての眼力を今後も期待したい。
以上。