好きな詩人

 ネットで見つけた無茶なアンケート。今どき詩なんて読む人いるのか。自分も、一応「田村隆一」項作ったけど、他にちゃんと読んだと言える詩人なんていないぞ。田村隆一はステキな詩人で、項コメントに一部引用した「立棺」読んでしびれたのだ。他にもナイスなのがたくさんある。こんな人が鎌倉の裏路地あたりを歩いていた(『僕が愛した路地』は大好きな本の一冊だ)かと思うと、鎌倉市民でよかったとか思っていたものだ。しかし、田村隆一の詩は、googleで検索すると出てくる一番上のサイトでみんな読めるけど、あれは公式サイトなんだろか。
 あと、無効票で項がある「金子光晴」。この人は自伝三部作(『詩人金子光晴自伝』、『ねむれ巴里』、『どくろ杯』、順番忘れた)が滅法面白い。南方やヨーロッパを適当に絵を売ったりしながら放浪したりする。金子光晴の名をはじめて知ったのは、高橋源一郎の小説だったろうか。そこでも、タバコ代をせびりにくるキャラかなんかだったと思う。ただ、自分はこの人の詩はほとんど読んだことない。いつか読もうか。あ、ランボーランボオ)の詩を訳していたっけ。古い文庫本の冒頭にあったサンサシオンという詩が最高だった。検索したら出てきたので引用の引用を(整形済)。http://www.ka.shibaura-it.ac.jp/masuodayori/masu_141/file/shikiji1.html

サンサシオン

夏の爽やかな夕、ほそ草をふみしだき、
ちくちくと穂麦の先で手をつつかれ、小路をゆこう。
夢みがちに踏む足の、一あしごとの新鮮さ。
帽子はなし。ふく風に髪をなぶらせて。

話もしない。ものも考えない。だが、
僕のこころの底から、汲めどつきないものが湧きあがる。
さあ。ゆこう。どこまでも。ボヘミアンのように。
自然とつれ立って、――恋人づれのように胸をはずませ……