俺にもジャパンカップが見えたぞ

 俺が尊敬する人は、清水成駿である。清水成駿は、ジャパンカップを得意としていた。それは、ジャパンカップが清水の競馬予想の思想にもっとも適合するレースだからだ。その思想とは「使う人間の意図を見抜け」というものだ。その馬は本当にそのレースに勝ちに来ているのか、どういう意図があってそのレースを選んだのか。その狙いを確かにしてから、はじめて馬の力比べをする、そういう考え方である。
 ではなぜ、ジャパンカップがその考えに適合するのか。それは、ジャパンカップが招待レースだからだ。すなわち、ここで意図を見抜くべきは調教師でも馬主でもなく、主催者である日本中央競馬会そのものである。その意図を……とここまで書いて、ちょっと仕事したら、頭がフラフラしてきた。さっき久々に風邪薬を飲んだのだ。どうも鼻がぐずついてしまってね。しかし、このフラフラ具合は酷い。ソラナックスなんかよりもっとボーっとする。
 えーと、ジャパンカップ。来年は天皇賞なども外国馬に開放される。ここで今年の面子に持って行かれたら、来年から高賞金の草刈り場になりかねない。それでは日本の馬主は馬を買わぬし、馬産は沈没する一方であろう。そんな中、今年招待された馬は、小粒とのこと。見どころは馬ではなく、日本に来ないエイダン・オブライエンなどと書かれる始末だ。
 そこで今年も日本馬のジャパンカップ。中心はゼンノロブロイ。いまいち君ぶりが未だに抜けぬ印象も、天皇賞馬の看板は伊達ではあるまい。相手に菊花賞デルタブルース。直一気よりも先行粘り込みになるこのレースに脚質も合おう。三着候補以下外国馬も含めて手広く。菊から逆算したであろうローテで、流石に疲れもあろうコスモバルク。脚質も府中ベストではなさそうだが、ルメールが怖い。逆に鞍上が怖さを感じさせないナリタセンチュリー京都大賞典馬の当レース成績は良く、連下には足りると見た。外国馬からはフランスのリュヌドール。意味は‘黄金の月’かな?ゴールデンジュビリーに相応しかろう。プレレーティングで115に4ポンド足して119なら資格もありと見る。そして、名手キーレン・ファロンが手綱をとるウォーサンも一応おさえるか? エイダン・オブライエン厩舎のパワーズコートも評判は高いが、所詮はサドラーズウェルズの子。‘欧州の至宝’の子であれ、日本ではサージュウェルズがいいところだ。サージュウェルズジャパンカップ勝てますか? さらに、府中向きなどの理由で少し人気しそうな三歳勢。裏路線から来た条件馬に菊を持って行かれるあたり、ちょっと軽視したい。馬券はロブロイ―デルタの折り返しから三連単にでもしようか。