ミュージック・ノット・オン・デマンド

 年末ごろだろうか、ラジオから流れてきた曲にハマった。調べてみると、元ジュディマリYUKIの歌う「JOY」という曲であった。もちろん、ジュディマリは好きだったので、歌手については調べずともわかったのだけれど。さて、この曲はそのノリに不思議と乗せられてしまう感じで、私の中では、一曲だけ繰り返して聴きたくなる類のものである。したがって、シングルをポイと買ってみようと調べてみると、発売は一月十九日とある。結構先じゃないか、と思ったものだ。
 そして、今日もまたラジオからその曲が流れてきた。そしてまた検索し、発売日が先であることを知ったのだ。同じくYUKIの「HOME SWEET HOME」でも同じような事をやった覚えがあり、こちらはついに興味が薄れて買うこともなかった。もっとも、私はあまりその時々の時流の歌手を贔屓にすることもないから戸惑いを覚えるのだろう。ジュディマリにしたって、バンドとしての終わりの方で聴き始めたくらいなのである。そんな人間にすら、いま流れていた曲をすぐ手に入れたいと思ってしまう。これもひとえにIT技術というものの進歩に起因しよう。進歩は便利と同時に不便さをも生みだし、人間は便利と不便と付き合いながら歴史を転がっていく。いままでも、これからも、変わることなく。