カフェイン成仏義

 徹夜明けの日の眠さには六錠のカフェインを摂取するがいい。効き目が出るには多少の時間が掛かるが少しの辛抱だ。眠気も頭痛も三千世界の彼方に吹き飛んでしまう。発汗と動悸は認めるところとしろ。手先の震えもタイピングで押さえ込め。どこまでも目が開いていく。開き続ける。私は眼を瞠ることをやめない。だからゆかりは俺のもの。
 
追記:こめかみが焼けるような感じで、なんかパァーっとなってきて、歯が浮くような細かな震えが来て、とても気持ちいいと思った途端、内臓がダウンした。胃が、もの凄く気持ち悪い。カフェインを流し込むのに使ったコーヒーのせいか? 腸の方もゴロゴロいってる。おかしい。たかが一日の徹夜でここまでダメージを受けるか。やはり俺はひ弱だなぁ。いや、ちょっと前はこんなことなかった。もう肉体も坂を下り始めたか。しかし、徹夜で稼いだアドバンテージを失いたくはない。くそ、ペース配分を誤った。なんかマウスの調子も悪いし。さっきからイラレのショートカットとフォトショのショートカットを何度も間違えるし(選択全解除、すなわちcommand+Dとcommand+shift+A)、ああ、気持ち悪い。

追記2:息をたくさん吸って過呼吸みたいにすれば脳が気持ちいいことに気が付いた。たくさん吸って、たくさん吐く。すると、手足の先が心地よくしびれて、鼻の奥がつーんとなって、脳がぱぁーっと光る感じ。これは、ほら、あの感覚だ、小さなころの俺はえらい泣き虫で(今もかもしれない)、散々ビービー泣き散らかしたあとの、妙な心地よさ。いくらかの疲れとしびれの中で、世界と一枚膜ができたような気分。あれとまったく一緒だ、この、たくさん空気を吸って吐く感覚は。なんだか視界が明るい。ただ、この過剰を続けなければ、胃が何かを戻そうとする。こんな異常状態の俺だけれど、突如、他の人の明日までの仕事を手伝うことになってしまって、またもや帰るに帰れない。