流れよ我が涙、と伊与田一範は言った

http://www.sponichi.co.jp/osaka/ser2/200510/14/ser2186302.html

 「いきなり実戦的なものをやってブラウン監督に見てもらう。まだ正式に決まっていないが紅白戦をやるでしょう」

 この記事を読んで伊与田のことを思い出した。スラッガーとして注目され、ドラフトでカープに入団。強肩を活かそうと捕手をやらせたが未経験では厳しく、内野手転向。しかし、それでも芽が出ずに戦力外、テストでロッテへ入団するも一昨年再び戦力外となって球界を去った選手である。この伊与田の二つの戦力外には、二つのエピソードがある。
 一つ目はカープでのもの。戦力外通告がなされた、まさにその週の週ベで「二軍監督が注目する選手」として伊与田が取り上げられていたのだ。なんというタイミングの悪さ、というか、連携の悪さ。フロントと現場に意志疎通があるのかどうか大いに疑ったものだ。そのお詫びもあってかどうかはわからないが、伊与田は戦力外通告後のコスモスリーグに出場機会を与えられ活躍、テストを経て見事ロッテに入団する。
 二つ目は、そのロッテを戦力外になったあとのことである。野球界に残ろうと合同トライアウトに挑戦した伊与田。そのプレーに目を付けたのが、こともあろうにロッテの次期監督のバレンタイン。「あれはいいぞ」と思ったら、何とまさに千葉ロッテマリーンズがクビを切ったばかりの選手だったという話である。そして伊与田は、これら示唆に富んだ野球説話を残して球界を去った。
 さて、マーティ・ブラウンの御前紅白試合に話を戻そう。当然、この試合には国木剛太(言葉は悪いがダメ元という感じではあったが、十万馬券を握ってるような期待をしていたのだが……)、石橋尚至、田村彰啓の出場はないのである。俺はどうしても、あるいはもしかして、などと伊与田の件を思いだしてしまうのだ。しかしながら、戦力外通告は、される側にとってみれば早いほうがいい。それだけ他球団の目にとまる期間が長いし、いろいろ考えたり準備する時間もあろう。いつだったか、優勝チームの戦力外通告日本シリーズ後くらいになって、言われた方は悲惨、てなこともあった。まあ、通告してしまったものは仕方ない、後はきちんとブラウンが目指すチーム作りをできるよう、一団となって望んでほしい。来年の正捕手が鈴衛佑規だって驚かないぜ!

※この項目の伊与田のエピソード、一つ目の週ベの件ついてはソースが見つからなかった。二つ目についてはhttp://gendai.net/contents.asp?c=042&id=743をこちら(http://www.geocities.co.jp/Athlete-Athene/3320/backnumber/200402.html)から辿って確認。俺はこの日刊ゲンダイの記事を紙面で読んだ覚えがあるので、ゲンダイの記事が正しければ正しい。