今朝の風に秋の気配を感じたこと

goldhead2006-08-18

 とりわけ驚くべきことではないのかもしれないけれど。だってもう、八月も後半戦、大ざっぱに七月から夏が始まったとしたら、もう第四コーナーを過ぎている。長かった梅雨のせいか、少し意外に思ったのかもしれない。
 少し驚くべきこと。今年の夏はゴキブリを見ていない、蚊に刺されていない。
 ぼくはゴキブリが人並み以上に苦手だと思っている人並みにゴキブリがきらいなので、夏の間はとくに台所の清潔に気をつかう。けれど、集合住宅に住んでいる以上、いや、一戸建てであれなんであれ、やはり彼らは現れる。それなのに、今年は一匹も見ていない。同じく、蚊のの飛ぶ嫌な音は何度か耳にしたけれど、今のところ刺されていない。去年のムヒを用意していても、出番がないままだ。これも長梅雨のせいだろうか。それとも、異常気象や環境汚染が彼らの生存すら危うくしているのだろうか。だとしたら、声を大にして言おう、異常気象万歳、環境汚染万歳、と。
 それはそうとして、もう秋なのだ。僕はすっかりそういう気分になって、ありもしない秋の淡い思い出に思いを巡らしたりする。年に四回の衣替え、気持ちも切り替わる。
 自分は、四季にごまかされてはいないか?
 なにか、なにかがあるかどうかも定かではないけれど、なにかをチャラにしてしまってはいないか。季節のサイクルで、本当の一年に向き合ってはいないのではないか。本当の一生の長さと向き合っていないのではないか。あるいは、日本人はそういうサイクルで生きてきて、なにか四季にごまかされてはいないか。四分の一区切りにだまされてはいないのか。詮無い問いか。

春は夏に犯されて 夏は秋に殺される
秋はひとりでおいぼれて
冬がみんなを埋める
野坂昭如の歌う「花ざかりの森」より