強い今川義元

 『太閤記』。テレビをつけると桶狭間の合戦。白塗りデブの今川義元、滑稽にあわて驚き、刺されて死んだ。時代劇が時代と関わりなくありつづけるのはいい。しかし、細かなところで少し変化してもいいんじゃないのか。たとえばこの、織田信長という日本史上最大級のビッグネームの踏み台。たまには、白塗りの顔を紅潮させ、「この今川、やらせはせん、やらせはせんぞ!」などと叫びながら、太刀抜きはなって雑兵どもをばったばったと切り伏せて、「ええい、ここまでか」と男が惚れるような笑みを浮かべ、自刎して首を飛ばすくらいの活躍をしたっていいじゃない。さすが海道一の弓取り、死ぬときはいくさ人の顔であったか、みたいな今川じゃ駄目ですか。チャンネルを変えるとしょっちゅうやっているバレーの大会。日本バレーボールの浮き沈みは知らないが、いつまで経っても「ニッポン、チャチャチャ」のマンネリ応援、屋内競技では空に消えることなく、かえって負の空気を作ってはいないだろうか。