河合隼雄の死

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070719-00000116-jij-soci

河合隼雄氏が死去=元文化庁長官、教育にも尽力−ユング派心理学の第一人者

 なにか魔法を求めるような気持ちで、心理学に興味を持つことってあると思う。その場合の心理学っていうと、数値と実験に明け暮れる認知心理学の類ではなく、ユングフロイト、夢判断、意識、無意識、阿頼耶識。そっちの方がとっつきやすい。俺も一時期、中学から高校にかけて、心理学の簡単な新書とかよく読んだと思う。
 なので、河合隼雄の本も何冊か読んだと思う。ただ、そんなにはまりはしなかった。一つには、あまり父親が河合隼雄を好きではなかった、というのがある。別に父親の好みに合わせて読む本が決まるようなファザコンではない。単に、父親の蔵書の中に少なかった(本棚にあったのは、谷川俊太郎との共著『魂にメスはいらない』くらいではなかったか)ということ。だったら、本棚にある他の心理学の本を読めばいいだけということだった。
 あれ、でも、『とりかえばや男と女』とか、もうちょっとあったな。あれは、祖母(父の母)の方の本棚だったか。そうだ、祖母は河合隼雄の読み物が好きだった。その理由の一つは察しがつく。河合隼雄京都大学の人間だったからだ。俺の祖父(父の父)が京都大学出の博士号持ちだったので、京大に思い入れが強いのだ。それで、父とその父のそりの合わないあたりから、父は河合隼雄を好かなかったと邪推してもいいだろう。そしてまた、俺がやがて「どうも河合隼雄はな。第一人者過ぎるし、どうもこの手の心理学もな」などと思ってしまったことの根っこも、そこらあたりにあるのかもしれない。
 しかし、あらためて著作を見てみると、仏教絡みがいくつもある。ここのところ俺が気になっている仏教だ。『明恵 夢を生きる』は、見るからに明恵上人の話に違いない。明恵上人といえば、日本仏教史において童貞と言い切れる数少ない仏教者という話だ。いや、それはどうでもいいが、これは気になる。
 そうだな、やっぱり第一人者は第一人者でしっかり押さえておかなきゃいかんかもしらん。脳や心方面がサイバーパンクに突き進む中、今一度ユングを振り返るのもいいかもしれない。もちろん、中学生でも読めるレベルの新書でね。